真夜中の弥次さん喜多さん

MOVIXさいたま
ひつじちゃんと


「オイラ、リヤル(現実)がとんと分からねえ」と、虚ろにつぶやくヤク中の恋人・喜多八(中村七之助)を、なんとか立ち直らせたい弥次郎兵衛(長瀬智也)は、「リヤルは当地にあり!」と書かれたお伊勢参りのDMに一縷の望みを託す。
手に手をとってお伊勢さんを目指し江戸を後にするディープに愛し合う2人。
が、禁断症状に苦しむ喜多さんを連れての旅は、当然波乱を呼ぶ。
まずは、箱根の関所を通るために、鬼の番人・木村笑之新(竹内力)から笑いをとらなければならないのだが…。

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とんでもない映画がやってまいりました。
観た直後は単純に「しょーがねー くだらねー 馬鹿だねー」と思っていただけなんだけど
今これを書くために思い出していたら、ふと気がついた。


…これって、「四谷怪談」だろ。

戸板流し、そしてそれは喜多さんの夢だ、と。「伏線ちゃんと貼ってあったぢゃんー!!」

そっか、そうなんだ。お初(小池栄子)と弥次さん喜多さん の関係、で、誰が伊右衛門の役なのか、に気がついてしまったよ、あたしは。

全体の「お馬鹿」なはっちゃけぶりに目を奪われてしまいがちだけど、深かったのねえ、これって
(なんてあたしの勘繰り過ぎかもしれないけどね)


一番好きな言葉がこれ。

『生きていると信じてくれている人がいる限り、死者はこの世に留まる事ができる』



「この世に残りたい」という魂、
「忘れられたくない」という寂しい魂、
「真実の愛のみにリヤルさを求める孤独な魂」の三角関係を見事なまでに描ききったmこれぞまさに愛の名作といってもいいんぢゃないかなあと。

まあ、そんな深いこと考えないで楽しんで観てしまえばいいのかな。

少なくともあたしはぐっさん(山口智充)のダンスと歌に絶叫寸前状態になり
阿部サダヲくんのキンキンに大爆笑し、板尾創路さんに「ほえー」となり(昔熱愛してた)と楽しみ倒しました。

画面いっぱい、見渡す限りの場所を埋め尽くした荒川良々にはぐっさんとき以上の絶叫リーチ。
だって良々がいっぱいなんですもの。何百何千といる良々なんですもの。
とにかく良々が出てきたら、それだけで妙に幸せな気分になってしまうくらい大好きなあたしは、もしこれが家で一人で観ていたとしたらうほほほほと声を上げ倒していたはずです。
エンドクレジットにまで良々の大群…嗚呼、あたしってなんて幸せなの!!(安い女)

うん、ほんと楽しい映画だったなあ。

そんな楽しい映画だっただけでなく、切ないくらいの愛の映画であったなんて、なんだか得した気分ですな。