コントロール

valkil2005-04-01


コントロール APS-64 [DVD]

コントロール APS-64 [DVD]

銀座シネパトス
みなみちゃんと


人間とは思えぬ凶暴性で、多くの犯罪を起こしてきた男、リー・レイ(レイ・リオッタ)。
死刑執行室で最期の時を迎えたレイは、数時間後、背広姿の一団に囲まれて目を覚ます。


彼らのリーダー、神経薬理学者のコープランド博士(ウィレム・デフォー)は、ある新薬開発試験の被験者になれば、レイに別の人生を与えようと取引を持ちかける。
その薬“アナグレス”は、脳の気質を変化させ、怒りや狂気を抑え込む効果があるという。

やがて実験が始まり、レイの心の奥に眠る後悔や自責の念が目覚め始めた。
はたしてレイは本当に生まれ変わるのか、それとも脱走を目論んでの演技なのか…。


☆★☆★☆★☆★


シネパトスはやっぱり侮れない(侮ってたわけではないんですけどもね)。
こんな気の利いた小品が上映されてしまうんだからたまんないよな。

 
印象的なのは処刑室でのレイ・リオッタ
「安いチンケなせこい悪党やらせたら世界一」の異名を持つ男に何故か宿っている、どこまでも澄み切ったアイスブルーの瞳。
(「フィールド・オブ・ドリームス」ではこの瞳が「いい方向」に働いたけど、そんなこたー、まずめったにないのがリオッタ)


その汚れのないアイスブルーの瞳から目が離せない。
彼が犯した犯罪、上から落ちてくる一滴の血液、それが彼の肩に落ちてくる。
この場面がしつこいまでにその後繰り返されるんだけど、その伏線の意味がわかったときに「うまいなあ」と手を打ってしまう。



凶悪で暴れん坊で、ほんとにどうしようもない「ジャイアン」なリオッタ。まさに彼の本領発揮。
それを受けるのが当代一の芸達者、ウィレム・デフォーくん。
ここ数年で「どうしたんだ、いったい」となるくらい顔が年をとったものの、それでも圧倒的な存在感。

いいひとの役でも、わるいひとの役でも、常に観客に強い印象を残すお二人がぶつかるんですから、それはもう、見ごたえがあるものになってましたですわ。


途中だれてしまうとこがちょっとあったりするし、尚且つ「おいおい。それはいくらなんでもないでしょ」という点もいっぱいありますですが
リオッタvsデフォーのガチンコ勝負が楽しくて、そんなこたーどうでもいい、ってなってしまったの、あたし。


「ビバヒル」のクレアちゃんを久々に見れて嬉しかったってのもあるし(デフォーくんとのH場面があるんだもん、びっくり)、この映画のあとに観たのがとんでもないクソ映画だったってこともあって、
こうして感想書いている時点では素晴らしい作品に思えております。


確かに大々的に公開されるような映画ではないけど、でもこうしてシネパトスのみで上映されてしまうのはもったいないなあ。
いや、まあ、だからこそシネパトスなんですけどね、実際。


難を言えば、ミシェル・ロドリゲスねーさんが戦わない女だったこと。
まあ、これはあたしが戦う彼女を見慣れていて、それが非常に好きだが故のわがままなんですけども。


あと、驚いたのがリオッタくんとデフォーくんが同い年だったということ。
50か、二人とも…両名とも別の意味で「見えないなあ」って感じですな。


でも「芸達者勝負」が観れて、なんか得した気分の作品でした。あたしはとっても好きです、この映画。