レディ・ジョーカー

レディ・ジョーカー [DVD]

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レディ・ジョーカー>と名乗る5人の犯人は、競馬場で知り合い親しくなった男たち。
小さな薬店の老店主(渡哲也)、中年のトラック運転手(大杉漣)、信用金庫の職員(吹越満)、町工場の若い旋盤工(加藤晴彦)、下積みのノンキャリア刑事(吉川晃司)というメンバー。
そしてトラック運転手には、重度の障害をもったレディという12歳の娘がいる。
彼らは身のうちに抱えた恵まれぬ境遇を生きながら、それぞれ異なった心境と理由で犯行に参画し、最大手のビール会社社長(長塚京三)を誘拐するのだった…。


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「僕の彼女」があまりにひどかったので、「浄化」の意味を兼ねてこれを。


あたしは原作読んでいないので、高村薫好きな連れのむっちゃんほど期待も不安もなかったのだ。
ただ、キャストが豪華で楽しめそうだから、それでいいかなって感じで。
長塚京三、渡哲也、大杉漣吹越満岸部一徳國村隼松重豊…ぞくぞくしてくるくらい魅力的なキャストだもの。
20年前に心底愛を捧げた吉川晃司が出てるのも見逃せませんよな。


(上映後)

うわー!!
すごいな、邦画って。
ちゃんとこういうの作れるんだなあ、なんか嬉しいなあ。


すっぱりとした解決はない。終わってから結局誰も幸せになった人はいない。
勝者なし、でも、全員が敗者ということはできない。
見終わった後の爽快感なんてない。もやもやしたものは残る。
それでもあたしはこの映画を「いい」と思った。

キャストがみなさん濃ゆくて魅力的なんですもの。
特に吉川晃司。カッコいいなんてもんぢゃない。
鬱屈した狂気、ねじれた情熱、クールな破滅願望、それが渾然一体となって、ある意味“怖い”役を魅力的に演じているんですわ。
渡哲也が、作品の中心でどっしりと構えているのは確かだとしても、それをも凌ぐ印象さえ感じました。


それに比べるとこれが映画デビューの徳重聡は、さすがにまだ薄っぺらい。
10年後には吉川くらいムケて、厚みが出て欲しいものですな。


ストーリーについてはなんとも言えません。
出てこないんですわ、書きたいことはたくさんあるのに、それでも出てこないんです、どう表現したらいいのか、どう書いたらいいのかわかんない。
ときどきこういう作品にぶつかるんですね。

そういうときはキャストで逃げるんですけど、それやっちゃうとものすごくあたしの気分が重たくなりそうなので(特に大杉漣さんとか)、今回はご勘弁を。


とにかく、観てよかったです、この映画。
お勧めかどうかはなんともいえませんが、あたしにとっては「大事な一本」となりました。