オールド・ボーイ

オールド・ボーイ プレミアム・エディション [DVD]

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試写会
九段会館
みはるちゃんと

オ・デス(チェ・ミンシク)は妻と一人娘を持つ、平凡なサラリーマンだった。
ある日、娘の誕生日プレゼントを買って帰る途中、忽然と姿を消す。
妻との不仲から、殺人容疑で指名手配されるが、実はオ・デスは何者かに連れ去られ、15年もの間監禁されていたのだ。
15年後、監禁から脱出した彼は、敵を突き止め復讐することを誓う。
その時敵(ユ・ジテ)から、「犯人と監禁された理由を5日間で解き出さないと殺す」とメッセージが。
復讐に燃えるオ・デスは、美しい恋人ミドと知り合い、共に犯人を捜す。しかし、これも犯人が巧妙に仕組んだ罠なのだった。


☆★☆★☆★☆★

カンヌのグランプリ。
タランティーノが「この作品にあげたかった」と絶賛した映画。
主演はチェ・ミンシク…観ないと、これは!!!!
というわけで、ポストに試写状が入っていたときにはガッツポーズでしたね。

…で…

思った以上に重い作品でした。
前半は体の痛みが突き抜け、後半は精神的に追い詰められていくわけで。
いやむしろ肉体と精神を絶えず痛めつけられるような想いで、観客は画面を注視してしまう。少なくともあたしはそうでした
特に主人公オ・デスが謎を追い駆けつつ陥れられる事実は衝撃的。

黒幕との関係、そして事実との対峙には驚かされる(途中でオチは読めたけど)。
思わずオ・デスを演じるチェ・ミンシクの演技に惹き込まれたっす。惚れなおしましたね。
ただ非常に難しい題材であり、誰もが受け入れられる内容ではないでしょう。
少なくともあたしは駄目です。ってか、元来生理的に受けつけないんですわ、この「題材」。
途中で「まさか…」となり「うわ、やっぱりかあ!!!!!!!」(ってか、チラシの写真や予告を覚えてた人は大概わかるよな)…うわ、駄目だ。

でもまあ単調に重々しく進まず、途中挿入されるアクション、殺陣はスピーディーだし見応えがありましたね。
また北野武作品を思わせる映像の間(ま)を織り交ぜ、作品の流れに緩急を与えていましたね。
時に漂うユーモア、また痛みを感じる程のアクションも、何処か北野作品に相通じるものではありました。
ただ確かに原作マンガは日本のものだが、その文化と共に完全に韓国映画として昇華されていたようです。
オ・デスを始めとするそれぞれのキャラクターも興味深く描かれていましたね。

全てを失ったオ・デスに差す僅かな光明。これがこの映画で唯一の救い。
ただその代償はあまりにも大きく、必ずしもハッピーエンドと言い切れず。
終わってみてもそこに爽快感はない。これっぽっちもただのひとつもない。
でもまあその味付けこそが本作の真骨頂であり、復讐の果ての愛情と憎しみ、悲しみが交錯する人生の極論が描かれているってやつなんでしょうね。
何度も観るような題材の映画ではありませんが、一度くらいは色々な意味で、徹底的に打ちのめされてもいいんぢゃないですか。

面白かったです、確かに。
でもあたし、多分この映画をもっかい観るかって誘われたら断るな。
DVDも買わない。

テーマ曲は好きだし、暫く頭の中を流れていたけど、それが聞こえてくるたびに「題材」が浮かんで来て「うげげげげ」ってなってましたな。
あー、思い出しただけでまた鳥肌が。
いやまあ、過剰反応かもしれませんが、あたしはどうしても駄目だってことで、御勘弁ください。