お父さんのバックドロップ

大宮シネマリゾート
一人で

「新世界プロレス」のプロレスラー下田牛之助(宇梶剛士)と小学生の息子・一雄(神木りゅーのすけくん♪)は、大阪にあるオンボロアパートに引っ越してくる。
妻が他界した牛之助は、自分の父親と同居することにしたのだ。
一雄は同じアパートに住む牛之助の幼なじみ・英恵(南果歩)の息子、哲夫と大の仲良しになる。
プロレスラーの父を哲夫はうらやむが、一雄は始終浮かぬ顔。巡業続きで留守がちな父と一雄の間には、埋まらない溝が出来つつあったのだ。
そんな中、牛之助はチームの意向でヒール(悪役)に転向するのだが…。

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中島らもさんが昔大好きでした。短編「人体模型の夜」なんて何回読んだことか。
そしてこの短編もあたしは大好きだった。

先日他界されたときは、哀しかったですね。
あの飄々とした風情、怪しい悪人風の善人ってとこが大好きでした。

この作品を観て思った。
【らもさんは、自分の作品がこんだけ素晴らしい映画になったんだから、幸せに成仏したかもなあ】

「馬鹿だなあ」って笑って、「しょーがないなあ」って笑って、「大変だなあ」って笑って、ラスト五分にいきなし涙腺大爆発。
いきなしなんです、ほんとにどばっと泣いたものな。自分でもいったい何が起こったんだろうって驚いたくらい、前兆なしで泣いた。

苦悩するお父さん、戦うお父さん、ほんとに牛之助くんったら最高だわ。

「ぼくはお父さんが世界で一番強いと信じていた」って息子の語りに胸の奥がほわんと温かくなりましたな。
ヒールに転向する牛之助さんが床屋に行くんだけど、そこの親父がらもさん。
画面にらもさんが映った瞬間、涙が出そうになりましたね、これもまあいきなりの涙なんだけども。

恐らくというか間違いなく、あたし(を含めた大勢の人)が目にする生前最後のらもさんの姿。
飄々として妖しげで危なっかしくて、でもなんだかとっても味わいのある風情のらもさん。

【そうかあ、らもさんこの映画に出てたのか。嬉しかったろうなあ】


なんからもさん追悼みたいな文章になっちゃいましたけど、この映画、ほんとにいいです。

「69」んときも書いたけど、邦画ってCGとかに金を馬鹿みたいにかけるより、このくらいの方がいい作品できるような気がするんだ。


大好きだ、この映画。きっと何回観ても、「お父さんのバックドロップ」が決まった瞬間に涙腺大爆発するんだろうなあ。
…やばいな、もしかしたら号泣警報機になってるかもしれませんな。



絶対の自信を持ってお薦めします。
先日のSURVIVE STYLE5+が今年ベストだったんだけど、この映画観たから、こっちになるかもしれません