LOVERS

LOVERS [DVD]

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試写会
よみうりホール みはるちゃんと
文京シビックホール ひつじちゃんと


唐の大中13年、凡庸な皇帝と政治の腐敗から各地に叛乱勢力が台頭。
その最大勢力「飛刀門」討伐の命を受けた県の捕吏・劉(アンディ・ラウ)は、前頭目の娘と目される盲目の踊り子・小妹(チャン・ツイィー)を捕える。
口を割らない小妹に対し、劉は同僚の捕吏で武芸の達人である金(金城武)とともに、ある計略を謀る。
それは身分を偽った金が小妹を救い出し、その信頼を得て飛刀門の拠点に潜入するというものだった。
目論見通り、小妹は金との逃避行を開始。劉も金と密通しながら2人の後を追う。
だが3人の行く手には、それぞれの思惑と愛憎が絡む宿命の物語が待ち構えていた…。


☆★☆★☆★☆★


HEROがよかったので期待を込めて楽しみにしていたのですが、少し落胆。
でも予測もしていましたけどね。

未完成のような出来に監督が本当に作りたかったものではなくなったんだなぁと。

なぜそうなる?というストーリー展開と描ききれない人間の「愛」で終結させる強引とも思えるテーマ。
メインキャスト予定のアニタムイの死去での脚本の大幅な書き直し、
金城武のけがによる撮影の制約、妥協が許されないはずの自然の天候不順、
SARS等撮影中止でもおかしくない障害の数々の中で苦肉の策だったんだろうなあ。

でも観客はそんなことは関係なく作品として評価します。だからあたしも
皮肉にも原題「十面理伏」の意味である“仕掛けられた罠”にはまってしまったイーモウ監督。全く惜しいですねえ

ただ、まあ、全編にはりめぐらされた隙のない映像美、アクション(特にチャンツィの舞踊のようなアクションは見事!)、
ワダエミの豪奢な衣装、せつない旋律で流れる梅林茂の音楽と、一見の価値は十分です。
ストーリーと映像美を切り離して見れれば、満足しまくりの作品といえるでしょうね。

ほんと、内容はともかくとして映像は本当にきれいでした。
チャンツィイーの舞いは一見の価値あり。映画というより連続写真集といった感じだったな。

「内容」について敢えて書くと…はい、こっから鬼つっこみいたしますんで、この映画好きな人はこっから先読んだらいけません

●金城って下手だよなあ

演技もそうなんだけどもね、この人って顔長いんですねえ。
馬走らせてるときなんて、「あれ、馬と顔の比率変わらないぞ」って笑いがこみあげてきてどうしようもありませんでした

今後あたしの中での金城の呼び名は「ろばくん」です。だって似てるんですものー


●きみたち、さかりすぎ(ネタバレありです)

1回目、金城くんがチャンツイちゃんとさかる

…だからさ、せっかく着替え終ったばっかなのにさあ。
でもまあこれは逃避行の真っ最中だから良いといたしませう。
でもさ、着替えたばっかってのはどうもなあ。しかもあんな着るのに面倒な服をさ。


2回目、アンディくんがチャンツイちゃんとさかる

…どこで誰が見ててもいいわけ?きみたちはさあ。
でも、1回目観た時にすっげ驚いた
デコにバッタが止まっていても平気で演技を続けるチャンツイちゃん…すげー、プロだあ!!

2回目観たらそれはバッタではなく、アンディくんの髪に刺さった竹の葉っぱでした。そうだよね、さすがにバッタはねえ。


3回目、金城くん再びチャンツイちゃんとさかる

…あのさ、いいんだけどね、盛りあがるのは結構なんだけど。
でもね、なにもこんな見晴らしいいとこでやんなくてもいいんでないのか?

しかもさあ、こんな一刻を争うときに背中とか攻めなくてもいいんでないのか、金城!!

まあ、やりたくなったら環境はどうでも関係ないんだわ、って時代だったのかもしれないからいいのかな。

でも「やだ」ってときはたった一つの動作で足りてしまうってのは便利だなあ。


●時間の流れが変ぢゃないか?

後半20分、時間の流れが絶対におかしい。ありえないし。
その時間の流れの中でやってることは「ガキの喧嘩」…笑ったなあ、あれは


●あの状況では…

その後半20分の中で、目をあけたチャンツイちゃん…あの状況で起き上がったら
【普通】虚ろな目をして人肉食らうよな。
…ぞんびさん映画の観すぎなのはわかってるんだけど、でもあの状況だったら間違いなくなあ。

●不憫

あたしゃアンディ・ラウが不憫で不憫で…「タイタニック」のキャルを観ているようで泣けましたね。
2回目に観たときは「ああ、そうか、こんときは…」なんて細かい心の動きまで想像しちゃって余計泣けました。
そりゃ一睡もできねーよなあ。不憫だよなあ。


●地道な作業がものをいう

竹林を「泳ぐ」朝廷の兵隊さんたち(あれは特殊部隊だからなのか?それともあんなスキルを持つ人ばっかなのか?)
どっからあんなに「武器」を持ってくるんだろう…数分後に解決。
そうか、こうやって一生懸命作ってたのね。

まあ、かなりの「笑かし映画」として観る事ができるなら、この映画はあたりでしょう。
あと主演三人のファンだったら、まあ問題はないんでないですかね。

あたしアンディ好きだし、そのアンディが不憫でツボだったし、笑えたし、衣裳と音楽堪能したし、まあいいかなあってとこで。

華氏911」で重たくなったあとだけに、このくらいの作品でちょうどよかったのかな、あたしにとってはね。