華氏911

恵比寿ガーデンシネマ
一人で

アメリカ、9月11日の悲劇。
アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュは、911以前から囁かれていたテロの可能性を軽視し、対策を見過ごしてきた。
ブッシュ大統領は、父ブッシュの代からサウジの富豪ラディン一族と石油ビジネスを中心に密接に関わっていたし、
サウジとの間には、兆単位の石油マネーが動くからだ。
一族の厄介者、オサマが引き起こしたとんでもないテロを、ブッシュ大統領はいつの間にかイラクに結びつけ、
アメリカを攻撃したこともないイラクへの空爆を開始した。
「自由」の名と、ゴルフクラブを振りかざして…。


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ドキュメンタリー映画ってものに興味がまるっきりなかったあたしは
ボウリング・フォー・コロンバイン」で目から鱗が落っこちた。

アメリカって間違ってねーか?】なんてそれまで思ったこともなかった。

銃社会について考えたことなんてなかった。

この映画を観てからしばらく、いろんなこと考えた。今でも時々考えてしまったりしている。

そして今回「主演 ジョージ・ブッシュ」のこの作品を観てきた。


片方からの視点でしか見ていないから、一方向からのみの意見を言ってしまうのは良くないとは思う。
でも、その片側、マイケル・ムーアの視点をあたしは信じているから、言ってしまう。


見終わって、怖くなった。怖いというか虚脱感というか。

【世界はたった一人の「たわけもの」のために破滅しかかってるんだなあ】

たった一人のたわけものである「主演」。
そしてそのたわけに準じている小たわけ。

【世界の終り】って言葉が頭の中にぐるぐる駆け巡ってしまって、未だにちょっとひかかっている。

1999年に振ってくるはずだった【恐怖の大王】は、この【主演】の男という形をとって現れたんだろーか。


前半、中盤にかけて「だは- しょーもないなー」と苦笑しながら観ていたあたしは
9・11の映像が流れたあたりから【ど、どうしよう】となっていた。

知らせを聞いたブッシュの沈黙、イラクへの攻撃開始、米兵の姿、息子を戦地に送り出した母の姿。

戦死した息子が最後に出した手紙を読む母。

「あいつを再選させないでくれ」

…涙が止まらなかった。どうしようもなく胸がしめつけられた。



今すぐにもう1回観ろって言われたら、結構きっつい。
でも、何度か観なくてはいけないって言う声があたしの中でしている。

ヘビーです、後半。
でも、【必見】って言葉がこれだけふさわしい作品はそうはないだろうと思う。


書きたいことはいっぱいあるんだけど、なにをどう書いていいのかぐるぐる回っててまとまらなくて。
だからこれで。ごめんなさい。

絶対のお薦めです。ってか、絶対観て欲しいです。
あたしにできることはなんかないんだろうか。
なにもできないんだろうけど、だからこの映画を一人でも多くの人に観てもらうことに貢献することくらいだったら。



あ、これ書くの忘れてた
パンフにあった文章でかなりツボだったこと。

「日本にマイケル・ムーアがいたら
桶川で女子高生が殺されたときも オウムのときも 北朝鮮のときも「なんかおかしいぞ」と体当たりで取材に行ったはずだ」

…「うん!!!!」って読みながら声出してうなずいてしまった。