キング・アーサー


キング・アーサー ディレクターズ・カット版 [DVD]

キング・アーサー ディレクターズ・カット版 [DVD]


①マイカル日進
ししょーと

②大宮ハタ
ひつじちゃんと

③古河光映会館
一人で

ローマ帝国の栄華に陰りが見え始めた時代。
ローマのために数々の武勲を立ててきたアーサーと円卓の騎士たちは、15年間の兵役を終え、それぞれの故郷に帰ろうとしていた。
だが教皇の権威を振りかざす司教は、彼らの兵役解除と引き替えに、ブリテンに住むローマ人貴族を救出せよという予定外の任務を命じる。
ブリテン地方は、森に潜むゲリラ軍ウォード、新たな侵略者サクソンの三つ巴の戦乱にさらされた危険な地域だった。
それでもアーサーと騎士たちは、今度こそ自由を得られると信じて最後の任務へ出発してゆく…。


☆★☆★☆★☆★


(えー、すっかりはまってしまって、現時点(8/1)で三回観ております。だから三回分で思ったことつらつらってパターンになります)

世間では酷評されているようですが、あたしは非常にアリでございます。
「トロイ」より全然好きだし、多分上映期間中にまだまだ何度も通いつめてしまうと思うし。

しかしほんとに盛りあがってないよな
「諸説が豊富にあるアーサー王伝説の一つの解釈である」ってんで、原典熱愛のあたしはそれを充分楽しんだのに

やはりいろいろな意味で「華」が足りないのかなぁ。
俳優陣は良いのにあまり目立たないし…ってか、知名度低いっすからね、キーラ・ナイトレイ以外はさ

知名度低いかもしれないけど、結構ツボにくる人ばっかりそろえてるんだよな

アーサー@クライブ・オーウェンは「すべては愛のために」んときにゃ全然ぴんとこなかったけど、今回すがりつきたくなるくらい素敵だった

あたし、髭濃ゆい男って苦手なの。
特にこのクライブみたいな「髭の濃い男の夕方」みたいなのは通常だったら鳥肌もので大嫌い。
でも、アーサーだったらアリなんだよな、これが。
【葛藤する男】ってのには弱いのだ、あたしは。
葛藤してるけど、それをあんまり表には出さない。
表情は静かなんだけど、心の中で煮えたぎる熱いものがちゃんと伝わってくる…うまいんだなあ、この人。

【その誓いを破ったらローマ軍でも教皇軍でも神でもあなたを守れない。それが俺の誓いだ】…かっこえー!!

葛藤してんだけど、その視線は上から見下ろしてくる。
煮えたぎってるんだけど、表情は静か…その佇まいが抜群にいい。
こんな人が作ったんだから強固なんだな、大英帝国は…なんてことちょっと考えた。

今回「聖剣エクスカリバー」は、「それを抜いた者が王になる」という描かれ方はしてない


ガウェイン@ジョエル・エドガートンは「トエンティマン・ブラザース(この映画大好き〜)」とはまた違った味で惚れなおした。
ほんと可愛いんだ。可愛いってかかっこいいってのか。
この人はハンサムとかそういうんではないんだけど、非常に魅力のある役者さんで。
めっちゃくちゃ好きだなあ。たまにしか「会えない」けど、それでもやっぱり目が離せない役者さんです。

ランスロットを演じたIoan Gruffudd
タイタニック」にも出てたらしいけど、知りませんです。
あたしは小さい頃「アーサー王物語」という絵本を非常に大事にしておりました。
その中に描かれていたランスロットは、サラサラ金髪で…そう、「シュレック2」のプリンス・チャーミングそのものでしたさ。
だから予告で観たときは「え?黒髪のランスロット?」ってかなり違和感だったものの…かっこいいぢゃないですかー!!!!!!

双剣背中から抜く姿に「うほー!!」って奇声あげちゃったさ。
「指は治ったようだな」ってグウィネヴィアに話しかけるときのシニカルな顔がこれまた「うほー!!」

彼がグウィネヴィアと恋に落ちるっていう原典の設定はとっぱらわれていたので、それはちょっと安心。
でも彼女に惚れているという設定は残っていて、それがほんとにいじらしいってか可愛いってか。

彼が彼女に惚れたのは、あたしが想像するに「昔「お守り」をくれた少女」の面影があったからぢゃないかと。
そう考えると、女蕩らしのランスロットがあんな純愛っぽい行動に出る説明がきちんとついてしまうんだな(あたしの中ではね)

戦場でグウィネヴィアがピンチなのに気がついてからの彼の姿は、涙なしでは観れなかった(三回目でね)。
「トロイ」の儲け役はヘクトルだけど、この映画はランスロットだなあ。

ほんと、ランスロットはかっこいい。子供の頃に憧れたまんま、いや、それ以上の「最強の騎士」だったです。

ボース@レイ・ウィンストンは「リプリー」以来だけど、相変わらずいい感じに濃ゆくて嬉しくなった。
赤ん坊抱いて「俺の子だよな」…可愛いぞ、ほんとにー!!!!

ダゴネット@Ray Stevenson…この人、「初対面」だけどおっとこまえさんだわあ。
彼と少年の交流は「お約束」って言われたらそれまでだけど、でもあたしは涙が止まらなかった(これまた三回目で)。
氷の上に残る騎士たち。少年に手を振るダゴネット…涙腺大爆発、号泣警報機発動。
間違いなく今後観るたんびにここで号泣かますんだろうなあ、あたし。


あたしが熱愛なのは、鷹と仲良しのトリスタンを演じるMads Mikkelsen
たしかにこのキャラはお約束だけど、めーっちゃくちゃかっこいい。
ラスト、馬が三頭走ってるけど、あたしは出来たら馬が二頭走ってるとこに鷹が一羽舞っているってのにして欲しかったなあ。

もとから円卓の騎士の中でトリスタンは「好き」度が高い。
ワグネリアンなもんで「トリスタンとイゾルデ」は当然好きだったりする。
「え?え?え?あんたこんなことでー!!!!!!!」

(ネタバレします)

…でもいいんだ。同じ非業の死なら、戦場でのほうが。運命の悪戯で伯父の花嫁と恋に落ちてしまい不幸な最後ってのより全然ね。
最後に目にしたのが、空を飛び回る鷹…ああ、トリスタンー!!!!!

三度目に観たときには涙止まりませんでしたね。
この役者さん、舞台でずっとやってたみたいだけど、演技がしっかりしてて、観てて惚れ惚れしましたねえ。

ほんとトリスタンかっこいいっす。孤高の戦士が非業の死を遂げる…ツボでございますわ、うははー(壊れた)


そしてサクソン側も濃ゆいったら。

セルディック@Stellan Skarsgard
びっくりしたもんな。「グラスハウス(とんでもねークソ映画)」のおっちゃんが、
あーんなかっこいー(まあ、あたしだけの意見だろうけども)じーちゃんになってるだなんて。
アーサーとあいまみえて「殺すに足る男にやっと出会えた」って胸叩いて「うほほー」…可愛いぢゃねーか、まったく!!

驚いたのがティル・シュワイガー。
あたしは一昨年、この人を生で観たことがあります。
田中真紀子…おっと違ったキップ・パルデュー主演「ドリヴン」って映画の舞台挨拶で。
(スタローンが結構ちっちゃかったんで笑ったな)
この映画の彼はカリスマ性に満ち溢れた不敗のレーサー。
主役を食うほどかっこ良かった。気品があって強くて…

そんな彼が「強大なとーちゃんを憎みながらも反抗できない卑屈なあんちゃん」…これがまた合うんだわ、びっくり。

【うわー、この人うまいんだなあ】ってしみじみ思ってしまいましたです。

ランスロットの背後から襲撃するんだもんな。
あの卑怯な表情で「うわ、すげー、うまいんだー」と更にしみじみ。

そうなんだ、ほんと【おっとこまえ】さんばっかりなんだよな、この作品。

根拠はないけど思った
【ハリウッド版MUSAだあああああああ】

いや、優れたリーダーには自ずと人が集まるという図式はMUSAのほうには…あ、蒙古軍がそうか。


ストーリーや設定は原作とかなり違うので、原作をご存知の方にはキレイに忘れて見ることをおすすめします。 
通常そういうのって楽しめないあたしがこの世界に綺麗に入っていけたのは
黒澤明監督の大ファンだというアントワーン・フークア監督の嗜好そのままに「七人の侍」のテイストを感じられたかも知れない。
「劣勢の戦い」「他人の為」という共通点もある。
今までの「アーサー王」ものとの基本的な違いは、アーサーが非常に人間的で我々と変わらない人間臭さが一杯だということ。
その分、人間アーサーを描けていると言う事かも知れない。
アクションは、氷上の戦いはなかなかいいと思った。最後の戦いは、迫力のある騎馬戦で、さながら「乱」と言ったところで。

はい、世間で酷評されてしまっていようが、あたしはとにかくこの作品が大好きです。
だから何回でも観たいと思うし、満足しております。

つらつら長くなってしまいました。ごめんなさい。

アレクサンダー大王」も映画化されるようだし、歴史劇好きのあたしとしては楽しみな限りです、はいー。