スパイダーマン2

古河光映会館
一人で


グリーン・ゴブリンとの死闘から2年。
青年ピーター(トビー・マクガイア)の生活は多忙を極めていた。
大学で科学を専攻する傍ら、バイトに明け暮れる毎日。
そしてひとたび事件が起これば、スパイダーマンとなってニューヨークの街を飛び回る。
一方、女優の夢を実現させたメリー・ジェーン(キルスティン・ダンスト)は、ピーターへの想いを断ち切り、新しい恋人との未来を踏み出そうとする。
孤独な日々に疲れきったピーターは、ついにスパイダーマンを辞める決心を固めるのだった。
だがそんな時、最強の敵ドック・オク(アルフレッド・モリーナ)が出現。ピーターはヒーローとしての決断を迫られる!


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いきなり一句

【かみさんに 食わせてもらえ 蜘蛛男】
(あ、ネタバレか、ごめんなさい)

というわけで、思ったことをつらつらと書かせていただきます


●まったく…
史上最強のぼやきヒーロー。
「僕の力は僕を呪い続ける」なんて苦悩するスーパーヒーローが他にいるかって
荒唐無稽な物語の核を成すのは、人間の生きる姿勢とその責任の取り方、というのが泣かせますな。

ピーター・パーカーの悶々とスパイダーマンのアクションどちらも前作より格段にパワーUPして充実。
小ネタで笑って大技で興奮。
トビー・マクガイア嫌いなんだけど、「蜘蛛男」の彼は悪くない。まあ、好きではないけどもね。


●えらいぞ
あたしが好きなのは、いくら頑張っても”ヒーロー稼業は報われない”というこれまでの定石が、まんまと覆されてしまっているとこ。
これには泣いた。涙は出なかったけどちょっと涙腺うるった。
止まらなくなった列車の暴走を体張って止めようとするのを観たとき、もうかつてのスーパーマンバットマンを彼は超えてしまったと思ったすね。
彼に「お帰り」を言いたかったのは電車の車中の子供ばかりじゃないですね。あたしもそう言いたくなった。

こういう子供の目の輝きをおばさんは大事にしろと言いたかったのでしょう、と。
なんか師匠みたいなおばさんだ。つくづくほんと子供から夢をうばっちゃいけんよ最近の日本のヒーローモノよ。


●ご苦労様
コスチュームの洗濯ってやっぱりするんだなあ。しかもコインランドリーで。これはショックだったな。
私事で恐縮だけれど、子供の頃デパートの屋上でスパイダーマン・ショーを見た時のショックを思い出してしまった。
そのときのスパイダーマン、洗濯のし過ぎで色が抜け落ち、うすいピンク色で登場!
おまけに助勢に来たアオレンジャーまで首から下が水色に変色していて、情けないったらない。
しかしあたしは300円払ってサインをもらい、握手までしてもらった。
まさかこのとき何年後のアメリカ映画でその洗濯シーンを観るとは夢にも思っていなかった。

しかしそういう下積み生活も報われたんだよ。彼とはなんだか他人という気がしない…他人だけどね。


●うぷぷー
ルフレッド・モリーナがあそこまでやってくれるとは…。

あたしがこの作品を劇場で観る気になったのは、彼の名前があったから。
(他にも理由はあるんだけど、)

まさに体張った演技.ちょっと太目の体ですが,とても凄みがあって最高。
サングラスが魅力的にすら思えた。
スパイダーマンとのバトルシーンは最高.すごい迫力。

モリーナさまとの出遭いはマリサ・トメイと共演した「太陽に抱かれて」っていう小品だったんだけど、それが凄く良かったんだ。
それ以来、なんだかんだで目が離せなくなってきている役者さんでして。
「ショコラ」の村長、「"アイデンティティー"」の牧師も【おお、モリーナさまったら!!】って満喫いたしましたが
この作品の彼は【やっぱモリーナさまったら!!】と更に満喫させていただきました。

いやあ、やっぱ好きだな、この人。
ってか、このキャスティングした人は凄いなあ。やっぱアカデミー賞に「キャスティング部門」って設けるべきだよな…いやまあ、それはいいとして


そして、ジェームス・フランコってやっぱいいなあ。
あたしが正統派の二枚目を好きになるってことはまずないんですけども(チャン・ドンゴンは別)、彼はかなりどういうわけか好き。
前作の「父に認められたい、愛されたい青年」ってのがまずツボだったんですねえ。
で、今回の彼の姿がまた…うわー、抱きしめてあげたひ!!!!

状況証拠のみだってのにスパイダーマンを父の仇扱い(まあそうだけどもね)してる短絡さも可愛いし
いつまでたってもファザコンな姿も母性本能をそそってくれます。公衆の面前で八つ当たりすんなよ、まったく愛い奴ぢゃ。
現実にそばにいたら殴るけど…いや、どうだろ、あの巨万の富があるから、それでもいいかな、きっと(拝金主義のリアリスト、それがあたし)。

しかしハリーがゴブリン世襲するんかなあ?まあ、だとしてもフランコくんがやってくれるんなら、それでもいいけどね


●脇・脇・脇が…
ブルース・キャンベルが前作に続いて出て来たときには「うほー」
(前作のリングアナとかもめちゃくちゃうれしかったんだけどもね)
金かかってても大作でも、この人が出た瞬間に一気に「木曜っぽさ」が倍増で、たまんねーなー、うほー。

サム・ライミ作品で、ブルース・キャンベルと共に忘れてはいけないのはスコット・スピーゲル。
毎回いろんなとこチョイ役で楽しませてくれるけど,今回もまあ…
ビルの屋上でスパイダーマンが配達してる最中のピザちょろまかしてる姿には「うははははー」

いやまあ、こんな地味なとこで大はしゃぎしてる人って、傍から見たら異常に危ない人なんだろうなあと自覚してますが
それでもあたし、脇好きはやめられなくてですね


●この映画の弱点
弱点はヒロイン。まちがいない
何度見ても「鬼瓦」にしか見えないキルスティン・ダンストが鬼門だな
子供のときはあんなに可愛かったのに…上目遣いでこっちを見るからそれが怖くて怖くて。

しかしなあ「卒業」を一人でやるとはなあ。
あたしはあの映画のラストで「あのね、残された人たちの気持とか立場考えてないの?」って怒ったクチだから今回も怒った。
ああ、ピーターくんったら、今後ますます編集長の怒りを買うんだろうなあ…御愁傷さまです


まあいいか、そこで最初の一句が

【かみさんに 食わせてもらえ 蜘蛛男】


うん、面白かったです。あたしやっぱサム・ライミの独特なカメラワークがめっちゃ好きだなって再認識いたしました。

しかし、上映中に「がさがさ」音にキレてしまい「るっせーんだよ!!」を連発かまし、挙句「うほー」と奇声をかましてしまい…
古河光映会館さま、うるさくして本当に申訳ありませんでした。