21グラム
- 出版社/メーカー: 東北新社
- 発売日: 2004/11/05
- メディア: DVD
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丸の内ピカデリー
みなみちゃんと
夫と2人の幼い娘と幸せな生活を送っているクリスティーナ(ナオミ・ワッツ)。
前科を持つジャック(ベニチオ・デル・トロ)だが、今は妻と2人の子どもと平和に暮らし、信仰に生きがいを見い出している。
心臓移植手術を受けないと1カ月の命という大学教授のボール(ショーン・ペン)の元に、別居していた妻メアリー(シャルロット・ゲーンズブール)が戻り、
彼の子どもを宿したいと申し出る。
決して出会うはずのない彼らが、ある交通事故をきっかけに結び付く。その果てにあるのは希望なのか、それとも…。
☆★☆★☆★☆★
三つのストーリーが同時に進む。それもただ進むのではなく、行きつ戻りつカットバックしていくという、手の込んだ映画。
「ああ、これがここにこうつながるのか」
「そうか、あれはそういうことだったわけですね」
非常に忙しくアタマが回転する。自分の脳の持つ情報処理能力が乏しいことを発見し、情けなくなる。
…落ちた。
アタマがパンクしてしまいそうになり、ついに脳は一瞬活動を放棄したらしい。
…時間にしたら10分かそこらかもしれないけど、とりあえず落ちてしまった。
通常の時間軸で進む映画だったら、さほど支障はないだろうけど、この映画はそれをやってしまうとかなりやばい。
「どのあたり?」と聞かれて答えても、それがどこの場面だったか、聞いた方も困ってしまう。
だからってこて、通常の時間の流れどおりにしたら、観客を引き付ける力も弱く、わりとウソっぽい話になってしまったのではなかろうか。
(「メメント」だってシークエンス再生を凄く観たかったけど、いざDVDの特典で観たらものすごーくつまんなかったしな)
ラスト近く、この「パズル」は完成に近づく。
胸をしめつけるような、あたしごときの文章力では表現できない不思議な感情がわきあがる。
落ちたから欠けたピースがあるものの、それでも「すげーぞ、これ」という心の声が体内を駆け巡る。
それにしてもこれはどういう話なのだろう。
もしもあの心臓が移植されなかったとしたら……を考えると、移植されてのち、運命がどう転がったか、やはりそこに物語を感じるですね。
もしも移植されなかったら。もしもトラックが手に入らなければ。もしも一杯おごられなかったら。
運命はもしもに満ちている。
何回か観たい作品ではある。落ちた時間を埋めなくてはいけないってのもあるんだけど。
できたらDVDでリモコン片手に「重箱の隅をつつく」みたいにして観てみたい。
交通事故についてあらためて考えてしまった。
毎年日本でも、あたりまえのように二万人ぐらい死んでいる。
事故ではあるが、彼らは殺されたのであり、殺した者も存在する。
いま、街中の雑踏を歩いていても殺した人間はうようよいるのである。だが、そのことについてあまり語られることはない。
あたかも一種のタブーのようだ。それは誰もが加害者になりうるからであり、あまりにもリアルで重い話だからなのだろう。
ノー天気で浮世離れした密室殺人かなんかのほうが、メディアの消費者は好むんだろうなあ。
…あ、重たいこと書いちゃッた。ごめんなさい。
というわけで、最後はこの言葉で
【ショーン・ペンの映画にハズレなし♪間違いなし♪】
いやあ、今回も惚れなおしましたねー。うひー(馬鹿)
【おまけ】
シャルロット・ゲンズブールってますますおかーちゃんそっくりになってきたなあ。
昔ジェーン・バーキン好きだったもんで(クリスティのシリーズに何作か出てて「綺麗な人だなあ」って)、なんか嬉しいなあ。