ドーン・オブ・ザ・デッド



日比谷映画
なっしーと

看護婦のアナ(サラ・ポーリー)は一日の仕事を終え、夫のルイスが待つ自宅へと帰る。
いつものように愛を確かめ合い、幸せな翌朝を迎えたそのとき、寝室のドアが静かに開く。
それが始まりだった。
ドアの向こうに立っていたのは、死人のような顔をした隣家の娘。
彼女はルイスの喉を食いちぎり、その血肉を貪り食った。驚愕の事態に呆然とするアナ。
次の瞬間、死んだはずのルイスが起き上がり、アナに襲い掛かる。
間一髪で屋外へ逃げ延びるアナだったが、そこに広がっていたのは、隣人が銃を向け合い、方々に火の手が上がる、信じ難い光景だった!


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何度も何度もしつこいくらいに書いておりますが、あたしはゾンビさん映画が大好きです
【夏といったらホラー、ホラーといったらゾンビに限る】とかとんでもないことほざいてるくらい。
ゾンビ映画を語り出したらそれこそ止まらなくなってしまう。ああ我ながら情けない

さてさて、予告を観たとき、あたしは吼えた


ドーン・オブ・ザ・デッド」…あの名作「ゾンビ」の原題…リメイクされるのか??


なにかにつけてこれまた言ってますがリメイクってもんにはかなり反対してる。
大概オリジナルの惨殺死体になってしまうだけだから。
で、この作品、「観たい」「観たくない」があたしの中でぐちゃぐちゃになってたりした。


新情報が入るたびに「うむむ」と、さらにぐちゃぐちゃ



●ゾンビが走るらしいぞ


「28日後…」であんだけ激怒したもんな、走るゾンビ。
いきなり「あちゃー、やっぱ観るのやめようかなあ」に針が動く


トム・サビーニ&ケン・フォーリーがカメオで出るらしいぞ


うわ、うわ、うわ、これは是非…「行く」に針がかなり動く


●ヴィング・レイムズにマカーイ・ファイファーが出るんだそーだぞ


これでもう一気に「行きます」に針がぶっちぎれた
このお二人、あまりスクリーンでは見かけないけれど、それでもあたしがかなりチェックしてる大好きな人たち。
ヴィング・レイムスは「ミッション・インポッシブル」二作とも、彼が観たくてDVD買ったようなもんだし
マカーイ・ファイファーは「O(オー)」のオーディン。彼の姿に涙したもんです。めっちゃ良かったし。


これは是非行かなくては。


うん、走るゾンビだろーがなんだろーが、笑ってしまえばいいんだ。
ってか、キャストを楽しめばいい。
「トロイ」同様、内容についてはゼロから始めればいいんだな



さてさてさてさて…


うーん、満足
堪能しちゃいましたね。


いいぢゃないか、ゾンビが走ったって。
走る姿が異常に笑えたんだもの。しかも「28日後…」みたいに息切れするような根性なしのゾンビくんはいないぞ。


アナの亭主が彼女を追っかけてくるんだけど、いきなし標的変えてそっちに走ってく姿を見た瞬間
「ぎゃーっはっはっはっはっはっはっはー」


まぢで笑った。この姿に本当に笑った。
標的をおっかけるゾンビさん…いいぢゃないか。なんか笑えるもの。


「リメイク」ではないんだな、「再構築」なんだ。


あたしは初めて理解した
「リメイク」については「アリ」「ダメ」が綺麗に分かれてしまう。
この映画が「アリ」なのは、オリジナルの「ゾンビ」を大好きな人たちが集まって丁寧に作られているからなんだな。
その気持がちゃんと観客に通じてるから、「アリ」になっちゃうんだろう。


オリジナルより優れている、と思わせる部分もあった。
「ゾンビ」はさ、襲われた人たちが食われる場面を結構これでもかってばかりに見せてたんですわ。
今回それがさほどない。
襲われて、がぶっと噛まれて…うん、それで終わり。大概。あとは感染しちゃうだけ。


「グロい描写少ないよ」って言っても誰も信じてくれないだろうけど、ほんとにかなり少ないっすよ。
これだったらカップルとかで行っても大丈夫ぢゃないかなあ。
(連れのなっしーも「これだったら夜、余裕で寝れる」って言ってたしな)


観終わってからホラーってより「極上のアクション映画」を観たような気がしたんだ。
ほんと、「あー、すっきり」って。


オリジナルの深さはないです、確かにね
オリジナルみたいに、終ってからあーだこーだと考えたりするような作品でもないです


でも、いいや。単純に楽しめたし。


オープニングの「見せ方」が絶妙。
アナが病院から帰るあたりから既に「予兆」はあったんだなー。
救急車の人たちが「今日は忙しい」ってのは、すでに始まってたってことなんだなあ
って、あとで思い返して「なるほどー」って。


そしてなにが起こってるのか、一応説明らしきものはある。
ただ、カーラジオのニュースでそれが流されていても、アナは音楽聞くためにチャンネル変えちゃう。
テレビの放送がいきなり中断され、臨時ニュースが入る。
でもアナは亭主とシャワー浴びながら、Hの真っ最中。


だからなにが起こってるのかさっぱりわかんなくて、朝起きたらいきなり隣んちのビビアンの襲撃を食らってしまうというわけで。


「28日後…」みたいに、どういう理由でどういうウィルスが蔓延したのかはっきりはさせてない。
でも、だからこそいいんぢゃないのかなあ、って。
「リビングデッド三部作」だって「宇宙からの謎の怪光線」でしたからね、原因は。


このオープニングだけでもうあたしは既に「これはかなりいけるかも」ってさ。


「妊婦が「感染」した場合、胎児はどうなるんだろうかな」って疑問も解決したし(あれは笑ったぞ、かなり)
オリジナルでも好きだった、「つかの間の平和」の場面が凄く好きだな。


トイメンのビルの屋上にいるアンディ(この人がまたいいんだな)と双眼鏡とボードを使ってチェスしてるケネス(ヴィング)が素晴らしく良い。
なんかのどかな場面なんだけど、下にはゾンビさんがうようよ…だははは


あと、バスに群がる鬼のような無数のゾンビ軍団。迫力でしたね。
なんか「ハードロックのコンサートの出待ち」みたいで、笑ったけどちょっと感動しちゃった。あの映像好き。


ちょい噛まれてしまった父親と娘の場面には涙腺ちょっとうるうるきましたね。
あのおとーちゃんはいいなあ。
「死の瞬間まで、生は愛おしい」…あたしは死ぬ瞬間にこんなこと思えないだろなあ。


しかし、おとーちゃんには泣いたけど、あの娘には後半キレたさ。
【こんな犬娘、見殺しにしていいから、とっとと行ってしまえ!!!!】


わかるさ、とーちゃん失って、その哀しさや寂しさをあの犬に全部注いでしまって紛らわせてるってのはさ。
でもね、そのために突っ走ってしまったらいけないでしょう。


こんなこと言ったら「人でなし」と思われそうだけど、あたしはどうしても腹が立ってしかたありませんでした。
彼女の馬鹿のせいで、結構お気に入りだったおっちゃんが退場したから、怒り倍増。


でもまあ、いいや。
ヴィングもマカーイ(メギーってなってますけどね、パンフでは)も非常によかったし
オリジナルを愛する人たちへの細かい遊びを満喫できたし
↓↓↓

●ケン・フォーリー
あの名台詞「When there’s no more room in hell, the dead will walk the earth」を言ってくれた。
あたし思わず「うひー」って声だしちゃった
全然年とってないんだなあ。変わってないなあ


トム・サビーニ
これまた「うはー」。なんか年齢とともに顔のアクが抜けた気がするな。でもやっぱ大好き♪


●スコット・ラインガー
最初気がつかなかったよ。でも、二度目にチェックしたら「ああ、ロジャーだ!!」


というカメオ出演の方々のほかにも、モールの中にまで遊びがいっぱい
婦人服ショップ「ゲイラン・ロス」…オリジナルでフランシスを演じた女優さんの名前でございますよ。
しかも登場人物のモニカの苗字が「フォーリー」、ヴィングの役名は「ケネス」
…オリジナルの主役「ケン・フォーリー」へのオマージュでございますね。


しかもスティーブという名前の男はやっぱり大馬鹿やらかすし…いやあ、笑った笑った


そしてなによりあのエンドクレジットに合間に見せられる「結末」がたまらなく面白いからOKにする。
計算されたテンポの悪さってんですか?異常にうぞうぞーっと気持悪くなって、それがなんか妙にツボで。


うん、愉しかった。充分満足。
すぐに続けて、はさすがにちょっと疲れてしまって無理だろうから、ある程度時間をおいて
じっくりゆっくり何度も観たいなあと思います。


だってゾンビウォッチングが楽しみの1つなのに、動きが速すぎてチェックできなかったんですもの。