トロイ

トロイ 特別版 〈2枚組〉 [DVD]

トロイ 特別版 〈2枚組〉 [DVD]

大宮ハタシネマ
山ちゃんと


ギリシャ連合のスパルタとその宿敵トロイの間に無血同盟が結ばれた夜。
トロイの王子パリス(オーランド・ブルーム)とスパルタの王妃ヘレン(ダイアン・クルーガー)に禁断の恋が芽生えていた。
若き情熱に駆られたパリスは、非道を承知でヘレンを自国へ奪い去ってしまう。
トロイ侵攻の口実を得たギリシャ王アガメムノンブライアン・コックス)は、屈辱に燃えるスパルタ王メネラオスとともに、全ギリシャを挙げての進軍を開始する。
トロイ攻略の鍵を握るのは、女神の息子と謳われるギリシャ最強の戦士アキレス(ブラッド・ピット)。
一方トロイでは、パリスの兄で太陽の子ヘクトルエリック・バナ)が決戦に備えていた。
ひとつの恋が、英雄たちの宿命を導いてゆく…。


☆★☆★☆★☆★


ギリシア神話が小さい頃から大好きでした。
オトナになってから阿刀田さんの「楽しむために」シリーズの助けを借りて、イリアスオデュッセウスを読みました
お芝居「アンドロマケ」も行きましたっけ


というわけで、「新選組」同様にあたしの中で好きの比重が高いのがこの「トロイア戦争
あまたの神々、あまたの英雄、そして木馬…


少年の頃からこの話が大好きで大好きで、遺跡を発掘するまでになってしまったハインリッヒ・シュリーマンの伝記も大好きだった。


だから予告を観た瞬間に「観るぞ!!」と心に決めた。


ブラピ主演?いいのいいの、そんなことは余裕で見逃す。
だって木馬が観れるんでそ?ヘクトルオデュッセウスやアイアース(もちろん大小)が??


…しかし、公開前に入ってきた情報であたしは愕然とした


【神話的部分をばっさり切って、完全な人間ドラマになっている】


うそだあああああああ!!!!!
だって、どーすんの??
発端はゼウスが「人間が増えすぎたから減らすぞ」って。
そんで例の金のリンゴと三人の女神から…じゃないとヘレンとパリスは…ええええ???


じゃ、なんすか?アキレスはアキレス腱が唯一の弱点とかでなくて、他の急所でも死んじゃうの?


こうなったら意識して徹底的に期待度を下げるしかない。
「パリスはただの馬鹿か」
「アキレスは簡単に死ぬか」
「んー、まあ、エリック・バナヘクトル良さそうだし、ショーン・ビーンオデュッセウスも合ってるし、
ピーター・オトゥールプリアモス王ってのも絶対良いにきまってるから、そっちでなんとか…」


おし、こんだけ下げたら大丈夫。
ゼロからスタートだから、あとはちょっとでもいいとこみつけて加算していけばいいんだ。



【結果】


ヘクトル!!!!!!!!!!!!!!!!

あたしが一番好きな英雄。
武将というより智将であった御方。
父を愛し、妻を愛し、子を愛し、弟を愛し、そしてトロイという国を愛して散った男。


主演がブラピ?アキレスが主役?とんでもございませんわ、主演は間違いなくヘクトルでございますわ。


彼の役どころはまさに「苦労人」。
馬鹿な弟、空気が読めない周囲の人々のためにどんどん終焉が近づいてくる彼の人生。


…へくとるー!!!!!!!!!!!


エリック・バナってのはほんとにぴったりのキャスティングだったなあ。
ブラピ推薦だそーで…あ、ブラピくんちょっと(あたしの中では)ポイントアップでございます


イリアスでは、彼がアキレスに敗れたとき、ヘレンも嘆き悲しんだと。
トロイという国のなかで、ヘクトルだけがヘレンに優しくしてくれた存在だからだと。


トロイを出ようとするヘレンに対するヘクトルの優しさ…これを描いてくれたという点で、この映画にポイントあげました。


ほんとヘクトルよかった。彼以外のヘクトル考えられないっす。



オデュッセウス


ショーン・ビーンって、やっぱいい!!!!!!!!!!!!!
登場した瞬間に吼えたね、あたしは(心の中でですけども)

ヘクトル同様、武将というより智将。
この人がヘクトル側にいてくれたらよかったのに。


顔も声も姿も、佇まい全てが完璧なまでに素晴らしい。


ラスト、「これで全て終った」みたいなことを語る彼にあたしは心の中で言った。


【あなたはこれからが大変なの。おうち帰るのに十年くらいかかるのよ。
サイクロプスと戦ったりとか、ほんと大変なのよ】


…まあ、神話的部分とっぱらってるから…それでもあたしは非常にボロミアくんが不憫でございました
ああ、こんなに散々苦労したのに、これからまだあんな苦労が…



●アキレス


鍛えぬかれた肉体だとか、全裸がどうだとか話題になってますけど、あたしに言わせりゃ


【噂では制作費の10%があんたのギャラらしいんだから、鍛えて当然、全裸くらい当然でしょー】

ってとこですわね


はい、国にかえればでかい息子がいるとは思えないくらい若々しいアキレスでしたね。
女神を母に持つと、年を取らなくなるのかしら
いや、テティスはまだアキレス独身みたいなことを言ってたし
…アンドロマクの愛を求めて苦悩するピュロスは、この世界にはいないのかー!!


まあ、ギャラの一割持ってッただけあって、きっちりお仕事しておりましたね。
悪くなかったな。


いや、あたし、ほら、マスキュラスな胸板と背中には点が甘いんで…


ま、戦争いきたくないばっかりに女装までした姿が観れなかったのが強いて言えば残念だったかなー



●パリス


…馬鹿か、おまえは。
和平のための使者でいっといて、とんでもねーことやらかして。


神々が絡んでいたなら納得もしよう。
最も美しい女神としてアフロディテを選び、そのお礼として約束されたのが「世界一美しい女」、ヘレン。
神々が仕組んだことなら、そりゃしょーがないかなって思うですわ。


でもさ、単純に「あのこが欲しい」ってんで奪ってきちゃったとしたら…それは信じられない馬鹿でしょー。


兄ちゃんに「おまえは昔、父上の馬を盗んだ時も…」
…ガキの頃から手癖悪かったんだなあ。ぢゃ、しょーがないやな


しかし、馬鹿だよな。
ケジメつけるつもりで、へレンの亭主に戦いを挑む。
あんた人を殺したことないんでそ?
あー、やだやだ、馬鹿は。


更に負けそうになったら、逃げて兄ちゃんの足にすがりつく
最低。あー、やだやだ、根性なしは。


しかし、レゴラス役が強烈だったんだよな。
確かにアキレスを仕留めたのはパリスの弓だったやね。
でも彼が弓を構えた瞬間、「あ、レゴラス」…いやいやいやいや


神話がとっぱらってあるんだから、考えてはいけないんだけど。
でもあの戦争についての話は、友人ゆややんも言っていたようにあたしには「聖典」に近いものがある。


だからあたしはどうしても(心の中で)叫ばずにいられなかった


【あんたなんでまだ生きてる??】


木馬の時点では、パリスはもう死んでいて、へレンはその弟の嫁にされていたはずだ、「イリアス」だと。

まあ、いいんだけどね。そういうことにしとかないと映画のストーリー上まずいだろうからな。


今回気がついたこと
レゴラスってかぶりものだめだなあ」


確かに男前だわね、エラはってるけど。
ただ、この人が綺麗な顔なのは、あのびしっと筋の通った鼻がメインだからなんだわね。
ヘレンの亭主と戦うときに、あの兜を装着した姿を観て「あれれれれ??」
これぢゃ亭主のほうが全然男前ぢゃありませんか。


鼻は顔の中心で、大事なパーツなんだなあとしみじみ。


それで考えるとエリック・バナ、ブラピ、ショーン・ビーンってのは、あの兜装着してても全然余裕でかっこいいんだから凄い


オーランド・ブルームは今後作品選ぶなら「鼻を隠さないかぶりもの」を条件にしたほうがいいと思うです



●ヘレン


綺麗だよ、確かに。
でもさ、この程度の美人が「世界で一番美しい」のか?
だったら最初の宴会にいた遊女たちのほうが全然余裕で綺麗だったぞ。


昔「トロイのヘレン」って映画があった。
この世界一の美女を探すため、全世界から美女を集めてオーディションを行ったというエピソードがある。
それだけの「手間」をかけて選ばれたんだから、そのヘレン(ロッサナ・ポデスタ)は本当に綺麗だった。
(写真で見るとそうでもないけど、この人が動いてる姿は…同じ人間とは思えないくらい綺麗だった)


ブラピに制作費の一割をギャラで払ってしまったから、へレンに金かけられなかったか?
だとしたらブラピより多少ランクおとしてもいいから、「絶句するほどの美人」を探してもよかった気がするんだけどな


「神々」が絡んでないからとはいえ、あんたもなあ…
わかるさ、年上の亭主と暮らしてっとこに、若くて綺麗なあんちゃんが登場したらさあ。
でもね、あんたが「そういうわけにはいかないの」って言えば良かったんでしょうに。
仮にもあんたゼウスの娘でしょーが。
神々の王を父に持つ女がそういうことでは…


パリスが生きてるから、「木馬」んときにオデュッセウスと出くわして…ってエピソードは当然ない。
残念だな、阿刀田さんが書いてるように「美女もここまでくるととんでもないこと言ってもなんでもあり」ってくらいの迫力があるかどうか観たかったんだけどね


綺麗なんだけどな。「ミシェル・ヴァイヨン」とかでは充分綺麗だと思ったけど、ヘレンやれるほどではないよな、この人は

「だったら誰だったら満足なわけ?」って言われても困るんですけど
うーん…CG技術こんだけ発達してるんだから、「シモーヌ」みたいに「創造」してしまってもよかった気がする。


とりあえず言っておきたいこと
【嫁がされてきた】って言いました、このねーちゃんは。
あんたね、山ほどいる求婚者の中から【自分で】選んで結婚したんでしょうが。


…あ、「美女もここまでくるととんでもないこと言ってもなんでもあり」ってやつなのか、これも。


●アイアース


んーっと、きみは親父の大アイアースか、息子の小アイアースか。ど忘れしちゃった。
まあ、どっちでもいいや。あたし,非常にキミが好きだ。
出番少なくて残念だったけどもね。


アガメムノン&ネメラオス兄弟


いやー、びっくりした。二人とも死んじゃうんですもの
ネメラオスが死んだってこたーですよ、「オデュッセウス」んときのヘレンはどこに戻ってたんだ、いったい
アガメムノンが死んだってこたーですね、「エレクトラ・コンプレックス」の語源が消えてなくなったってことですわね。

わかってんだけどね、あの神話と別のものとして考えなければいけないのは。
でもなあ。
しかし、奪回しに参加したのは亭主だけか?
「テュンダレオスの掟」はどうなった??ほかの求婚者もいたんだけど、扱われていなかっただけなのか。


●いないんですか?


基本的に男のドラマになってしまってるからしょーがないんだろうけど、大事な人が出ていません
ヘレンにアンドロマケ、ブリセウスはもちろん大事ですけどさ、
【カッサンドラ、いないとまずいでしょー!!!!!】


木馬を焼こうって、その時点では既に死んでいたはずのパリスが言うんだものな


アポロンから「適確な予言をするけれど、誰もその予言を信じない」って宿命を背負わされた彼女の姿がない。
「…ええええ???」


「家族」らしいものが映るたびに「これか?」とかちょっと真剣に探してしまいました。
残念無念。



…とまあ、まだ書くことはありそうですが、これ以上長くなるのもですねえってんで、これで。


うん、結論としては【いいんじゃないですか?】


イリアスに思い入れあり過ぎたり、ブラピが嫌いだからってんで、マイナス要素は確かに多い。


紺碧の海、苦労人ヘクトルピーター・オトゥールのローブ姿、オデュッセウス
そして数限りなく出てくる「つっこみ倒せる場面」


それで計算してみると…プラスになるな。


とりあえず何度かじっくり観てみたい作品ですわ。
次回は「なんで?あんた死んでるでそ」とかそういうのちゃんとわかってるから、いろんなキャラについて観察する余裕が出ると思いますので


いやー、ヘクトル良かったなあ。そしてショーン・ビーンも。
だはははははははー…ごめんなさい。壊れました