MUSA -武士-

MUSA -武士- [DVD]

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試写会
九段会館
かどいちゃんと

1375年、中国は元から明へ王朝が変わろうする混沌とした時代だった。
朝鮮半島の高麗王朝は和睦のために外交使節団を明に送ったが、この使節団はスパイ容疑で遠くの砂漠に流刑にされてしまう。
砂漠には荒くれ者の行商隊や元の部隊もいた。
元に捉えられた明の王女プヨン(チャン・ツィイー)がその中にいることを知った高麗の外交使節団の団長、チェ将軍(チュ・ジンモ)は、
プヨンを救い出し、明に送り届けることで明王朝に取り入ろうと考える。
だが使節団の内部には王女を救うより、無事高麗に戻ることを優先する者たちもいて、内部に微妙な亀裂が入るのだった…。


☆★☆★☆★☆★


(これ、実は今日(2004年元旦ざんす、書いてるの)までに4回観ております)


うはははははははは


…いや、ごめんなさい
あまりに「男前さん」ばっかりで、壊れてしまいました


通常「癖のある愛すべきおバカさん」に壊れる傾向があるんだけど、今回見事なまでに「絵に描いたようなヒーロー」に惚れました。
美しく強い奴隷あがりの自由人ヨソル(チョン・ウソン)。


かっこいいなんてもんぢゃないっす。
したから見上げる「奴隷目線」、傷つき、雨に濡れた子犬のように儚く可愛い笑顔。でも滅茶苦茶強い。
ほんとに強い。無敵だろってなくらい強い。
みなみちゃんも言ってたけど、あまりに強いので、出てきた瞬間「あ、うん、ここは任せてだいじょぶね」って緊張が緩和してしまう。
そんな難点もあるんだけど、でもかっこいいから、惚れてるから許してしまう。


姫を守る、ひたすら守る、ただただ守る。
1回目観たときは「惚れてるから」なのか「忠誠心」なのかって、途中まで予測つかなかったんすよね。
地べたに倒れてるときに目に入ったのが姫の足。
『常にマスターを求めている奴隷体質』と勘繰ったわ。


でもね、二回目に観たら、このワンちゃんったら、ほんとにいい目して姫を見てるんですわね
優しい、そして憧れるような瞳。
ああ、こんな目で見つめられたら、あたしその場でひれ伏して「犬と呼んでくださって結構です。あたしゃあなたさまの奴隷ですー」になっちゃうな。


(あたしは強くて胸板肉体美の男性にめろめろへろへろになる傾向が多分にあります。まあ、小隊長もそうでしたから)


ヨソルは結構ってーか、かなり「俺ランド」の王様だったりする。
蒙古軍が「姫を渡せば攻撃はしない」と行ってきて、高麗軍は「どうすべー」となってるときに
さっさと門を開けて警告に来た人の首すぱー!!って刎ねちゃうし。
(悩んでたバカ殿(後述)くん、立場なし)


姫が蒙古軍に投降しようと馬で土城を出る。
みんな見守ってるのに、勝手に門をさっさと開けて連れ戻しにいっちゃうし
(「お守りします」と姫を止めたバカ殿、立場なし)


彼の「旦那様」であった副使が死の直前に解放してくれて「自由人」になったからか、マイペースの「俺様」になってしまっている。
「俺様」ったって、自分だけよけりゃいいってんでなく、姫のため、ただそれだけ
(あ、あと、お友達の「水泥棒」ダンセンくんのこともちゃんと守ってましたね)
強きにへつらわず、弱きものに優しい、強くて寡黙で美しい筋肉男…滅茶苦茶出来すぎぢゃないですか。


通常なら「へっ!!つまらん!!」となっちゃうはずなんだけど、どういうわけだか惚れてしまった。
惚れて惚れて、とにかくヨソルが出てくるたびに「うはー」「だひゃー」「ぐひー」…いやいやいやいや


ああ、あたしもあんな風に守ってもらいたひー


いやー、ヨソルかっこいいわあ。
森の中で長槍(薙刀か、あれは)ぶんぶん振り回したら、木が邪魔になるだろー、なんて「おいおい」さえも
「かっこえー。もうなんでもあり」になってしまうくらいかっこいい。


蒙古のランブルファ将軍(この人がまたかっこいいんだ、めっちゃくちゃ。後述いたします)につかまったあたりでの
魅惑の胸板サービスショットがもうたまりません。あふー


プラトーン」のウィレム・デフォーかと思わせるようなサービスショットがこれまたたまりませんで。
ああ、もう、ちゃんつぃちゃんになりてー!!
『こんな下品な女は守る価値がない』とかってザクっと斬られちゃうんだろーけどね。とほほ。


もっとも、実際にヨソルがそばにいたら
「黙ってばっかで、何考えてるのかわかんなくて、めーっちゃむかつく!!」って後頭部どついてるでしょうけどね。


うんっと、綺麗にまとめると
「見返りを求めず、一度決めたことを唯ひたすら守り抜くという、どうしようもないほどの男の一途さを、
長い両刃の槍に込めて戦うヨソルの姿は、有無を言わさず惚れさせてくれます」ってとこですかね


余談です
舞台挨拶で「槍を投げる場面で、鬘がひっかかって、槍と一緒に鬘が飛んだ」そうです
それは森の中での槍投げでしょうか、ランブルファ将軍とこから城に戻ってきた直後の槍投げでしょうか
どっちにしろ、かっこいい場面であるから、かなり現場は大爆笑だったろうなあ。


バカ殿(命名みなみちゃん)チェ・ジョン将軍@チュ・ジンモ


ぱっと見は金城武、角度によっては反町に見えて、別の角度だと「あれ・キムタク?」っていう、かなりの美形。


が!!残念ながら、この人、役柄が悪い。
経験が浅いし臆病なくせに、口ばっか。
こんなんがトップにいたもんだから、この一行はこんな目にあったんだろなあっていう、悲惨な役柄。
いくら剣の達人ったって、これぢゃねえ。
「おまえは寝てろ、灰になっても燃えなくていい。そのまま灰になってなさい」
これが一回目の彼に対する感想


が、二回目に評価がばしばし上がった。
若さと焦り、そして臆病なのを隠すための虚勢、惚れた女が自分を一切見ていないことに対する切なさ
これをこの人、ほんとに見事に演じきってますざんす


可愛いんだな、ほんとに
おいしいとこ全部他の人に持ってかれちゃう


姫に対するアピールポイントはヨソルに、
そして部下の信頼ってポイントは隊正チンリプ@アン・ソンギに。
(「いつもおまえが裏にいる」とかやたら絡むのは、自分もああいう風に部下の信頼を得たい、とか内心思ってて
それが焦りとなって出てきてしまうんではないかとあたしは推測する)


戦闘になりゃ、それなりに腕は立つんだけど、どういうわけだかいつもすぐやられる。
で、別将に毎回死ぬほど面倒をかけてしまう(しまいにゃほんとに別将には生死にかかわることになっちゃうわけで)


彼は「武将として散る」ことを望む、それが夢であったのです。
ヨソルに取り縋って泣く姫様、それを見つめる将軍の瞳。
わかっちゃいたけど、姫の心は自分にはこれっぽっちもなかった。わかっちゃいるけどきっついなあ、切ないなあ。
彼の心中を思って涙腺うるるでした。


が!!傍らを見るとアン・ソンギさまが。
彼が「もういいんだ、それでいいんだ」と、あの深くて静かな瞳で頷いてくれた。
恋愛には完全な敗者だったものの、武将としては「勝ち」とは言えないまでも、満足できたんぢゃないのかなあ、と。


いやー、可愛いざんす。ほんとに可愛い。
「いくら男前でも、あの役柄はポイント低いわあ」なんて思ったの、撤回いたしますわ。
ただし、上司には持ちたくないですけどね。


この人はヨソルみたいにサービスショットなかったんだけど、予告の「ハッピーエンド」で観た限りでは、かなりの胸板を所持されている様子。
チェ・ミンシクが出ていても、お得な美系の胸板がおがめても、官能系は苦手だから観ないとは思いますが。


あとはなんといっても、アン・ソンギ。
彼の演技を見ると、必ず思い浮かんでくるのが、この言葉
【静かな水ほど、底は深い 】


この人は、いい。絶対にいい。
たまんないよな、ほんとに。
あの飄々とした中に、静かな強さと確かな知性が感じられる、ものすごい役者さんだとあたしは思いますわ。
顔の皺がほんとにいい感じなんだわな。あの笑顔をくらったら、「ああ、もうこれで大丈夫だわ」って全部委ねて安心しそうですな


いやー今回もすっかりおいしいとこ総取りでもってっちゃいましたね、このおっちゃんは。
弓の構え方が「それで大丈夫なんか?」って感じではあるけども、命中率はエルフのレゴラス(「ロード・オブ・ザ・リング」)級。
射程距離の長さときたら、アラン・クォーターメイン(「リーグ・オブ・レジェンド」)級
かっこよすぎるな、おやぢ
弓の名手で、しかも頭脳までお持ちです。
ほんとにおいしいとこもってっちゃって〜やっぱ大好き、アン・ソンギ♪


そして、この映画であたしがヨソルと同じくらいに惚れたおしたのが蒙古のランブルファ将軍@ユー・ロングァン
(みなみちゃん&ひつじちゃんも彼に惚れてしまっていたから、女性陣の心を揺さぶるフェロモン男なのかも)


滅び行く蒙古の復興を願う戦士、ランブルファ将軍。
長であるククチムールが信頼する部下であり、彼もククさまに心底仕える戦士。


登場場面からもう来ちゃいましたからね。
チサン(坊主)に死んだ戦士の葬儀を頼むんだけど【皆立派な戦士だった。青き狼の息子として葬ってやってくれ】
…だはー、かっこいいぞー。うひー(壊れた)


登場人物の誰よりもヨソルの価値を理解し、心底ヨソルに惚れ込んだのがこの人。
ヨソルは強い。蒙古の復興には強い戦士が必要だ。だから是非ヨソルが欲しい
【殺すな!!久しぶりに流麗な槍さばきを見た】


この人は、口を開けば出てくる言葉が全てかっこいい。
村を焼き払って【顔を見られている。皆殺しだ】
…とんでもない台詞だけど、将軍がいうからかっこいいっす。


戦い前に「ククさまは負け戦を始めてしまわれた」
…それでも戦うんですね、あなたは。その寂しい表情、あたしがそばにいて支えて…いらねっすか?ごめんなさい


さらにもう一言【草原へ帰ろう】
だはー!!
あたしは「滅び行くモンゴル」ってのにとにかく弱い。元来騎馬民族ってのには徹底的に弱いから
ファイアーエムブレムのシリーズでも騎馬弓兵を徹底的にエコヒイキして育てる傾向アリ)


ヨソルとっつかまえて、高麗軍の土城の前においてくる
【門をあけて助けに来たら総攻撃、見捨てるようなら奴は我々のものだ】


…あ、あたしも連れてってくださひー!!飯炊き女でもなんでもいたします
個人的にはその顔の両脇のかわいい三編みをつくってあげる、ヘアケア係希望ですな


ちゃんついちゃんに向かって【小娘1人のせいで地獄だ】
…か、か、か、かっこえー!!
「BRⅡ」キタノシオリさんの【なにがいいたいんだか全然わかんなかったんだけど】に匹敵する名台詞ですな。


次の瞬間(激しくネタバレになります)投げた槍がヨソルを貫いてしまい【うわ、やってもーた!!】…この顔がたまらん。
しかもかかってきたヨソルに更に反撃して倒してしまい【うわうわうわ、またやってもーた!!】…この瞬間,彼は蒙古の復興を諦めたに違いない。


うわ、ヨソルより長くなっちまったな、この人に関してが。
ほんっとにかっこいんですわ。まぢで。


でも、他の出演作(「スウォーズマン」とか、香港のB級にやたら出演なさってるらしい)で「逢った」ら、こんなに惚れたおすかどうかは疑問だけど。
いやー、ほんとかっこいいっす。だははー


そしてもう一人「漢」と書く男がいます。別将。
バカ殿の父親とともに何度も戦場に赴いた、歴戦の勇士。
きっと先代に命を助けられたとかなんかがあって、心酔していたんだろうなあ。
だから息子をひたすらサポートして守って…いや、あたしの勝手な想像ですけども


戦いに出るとあっという間に倒されてしまう不甲斐ないバカ殿。
森の中でやられたときにはバカ殿を背負い、土城の前でやられたときには馬(ヨソルが調達した)でバカ殿を逃がす。
(城を出るときにソンギさまとの「守りはまかせた」ってやりとりは、鳥肌立つほどかっこいい。二人ともね)


その「漢」ぶりをちゃんと認めたのが、もう一人の「漢」ランブルファさま。
「剣を拾わせてやれ」…かっこいいです、二人とも。
別将「退場」場面では涙腺うるみましたね、いやいやいやいや。


ひたすらバカ殿をサポートし、守り、尽くす別将。
そんな君の思いはちゃんと通じたさ。だってバカ殿がランブルファと(ネタバレ御免!!)刺し違えたとき、彼が使ってたのは君の刀だったんだから。
愛だな,愛。BR(原作)で七原が最後にもっていたのが三村のベレッタだったのと同じだな、うん(違うか)


漢族の長老もいいです
ラスト近く、この人が隊正に「漢族と高麗族は、兄弟みたいなものだ。だから面差しが似るのだよ」…グッとこみ上げてくるものを感じてしまいましたね。
ずっと昔、シルクロードを交易の場としていた人々は、お互いに覇を争ってはいたけれど、
もしかしたら今以上に、言語においても文化においても深く交流し、国際人、コスモポリタンだったんぢゃないかなあ。
この映画は、ふとそんなことも思わせてくれる作品だったですね。そんな感想もったのあたしだけか?だったらごめんなさい


他にも「いざというときにさっぱり役に立たないビビリ通訳」とか「水泥棒ダンセンくん」とか「やーな笑いがたまらんぜトチュン」とか
「ボケばーちゃんの世話係ハイルくん」とか、ほんとに皆さんキャラが立ってて、ちゃんと撮ってて、役者冥利に尽きるだろうなあ。


特にあたしゃボケたばーちゃんがハイルを撫でながら「あたしの息子や」って場面には涙腺爆発しちゃいましたね
元来「老人と子供」ってのには滅茶苦茶弱くてですね(孫だったら更に弱い)。
恥ずかしいくらい泣きました。


いい映画っす。たまらんっす。大好きっす。何度でも観たくなるからなあ。


いやー、つっこむとこは満載ですよ。


●森の中で槍振り回したら、ぶつからねーんか?
●槍もそーだけど、森の中で馬走らせまくるってのは、無理があるでしょ
●きみたち、通訳いらないでしょ、そんなに会話成立してんなら(「翻訳コンニャクもってんすよ、きっと」byひつじちゃん)
●砂漠歩きまわっても全然憔悴していないのはなんで?(きっと砂漠放浪する前は、もーっとすごい体だったんだな、全員)
●あの坊主、なんであの大人数食わせてやれるほどの大金もってんだ?(巡礼って儲かるんだろーか)
●ランブルファが倒れたら、それで終りっすか?だからみんな生き残れた?
 (推理小説でいうところの「心理的な一瞬」ってものが生じ、その隙をついて生き残りが総攻撃かけたのかも)


つっこむとこ満載ってことはそんだけ終ってからが愉しいってことです。
勝手にサブストーリー作ってもりあがったしね
チャンツイちゃん殺人マシーン説を勝手にぶちたてたのはあたし。ファンのかたごめんなさい)


ストーリーに全く関係ないツッコミといたしましては
ソンギくんが「もっと引きつけて、合図したら討て…もっとひきつけろ、まだだ」って言う場面、
某映画、テロリストグループ「ワイルドセ●ン」の役立たずリーダーみたいで大爆笑でしたね
(こっちは弓だから射程距離があるんだけど、あっちは銃だから無意味なんだよな)


とにかく、音楽よし、映像よし、キャストよし、ストーリーはまあ、つっこむとこも含めて良し。
ってことで大満足でございます


(長々とすいません、もちょっと続きます)
さてさて、この試写会、舞台挨拶があった。
奴隷→英雄のヨソル役のチョン・ウソンさん。


186cmの長身、めちゃくちゃいいガタイにシャイな笑顔。


日本の女性の印象は?
「みなさん、非常にお美しいです」
(んまー、お上手だこと。韓国にはアジア№1美人のイ・ヨンエさんを初め、綺麗な方がわんさかがいるってのに)


六条華さん(花束贈呈に出てきた、現役東大法学部のモデルだかタレントだかの人)の印象は?


「わたしが今までにお会いした日本女性の中で…
(ここで六条さん、「あらま」と照れる)
一番背の高い人ですね」


場内大爆笑。六条さん、がっくし。
「ほんとにこの人は最高学府の現役学生なんでしょーか」って疑問に思うくらい、アタマ悪そうな話し方してましたしねー。


そしてこのあと、ウソンさんが、重大なネタバレをかましてしまった
(言った本人より、「そんなん通訳すんなやー!!」と、通訳のねーちゃんへの大ブーイング)
でも、それ知っててもってーか、知ってるからこそ「ああ、ここかあ」って切なさが倍増しましたけどね、その場面直前の。


観た人でどの場面のネタバレかましたか知りたい人います?いないやな、さすがに。
ブーイングの中、恐縮しているウソンさんが可愛かったです。


基本的に舞台挨拶は上映終了後を望むあたしですが、この場合は前でよかったのかもしれません。
だって終った後だったら「ヨ、ヨ、ヨソルだあああああああ!!」って、九段会館で暴動起きてたかもですわ。


というわけで、ほんと長くなったなあ。「大脱走」に続き、延々馬鹿みたいに長くてごめんなさい。
でもね、お薦めですの。上映中に多分もっかい行くはずです。懲りませんねえ。まあ、それがあたしなんですけどね。