ターミネーター3





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ししょーと



ミリタリー・コンピューター、スカイネットの計画を潰し、人類の未来を塗り変えたサラとジョン・コナー(ニック・スタール)親子。
あれから10年が過ぎ、ジョンは不安を抱えたまま放浪生活を送っていた。その不安は間もなく現実となる。
スカイネットが、最新型マシーン、T‐X(クリスタナ・ローケン)を送り込んだのだ。
ジョンが偶然再会した幼なじみ、ケイト(クレア・デーンズ)もその標的だった。
T−Xの襲撃から2人を救ったのは、かつてジョンを守ったターミネーターアーノルド・シュワルツェネッガー)。目的は何なのか? 
いぶかるジョンに、ターミネーターは衝撃的な真実を告げる…。


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酷評くらってるけど、あたしはアリ。
ニック・スタールはこんな酷評くらうような人ぢゃないよ。彼、すごくいい個性派役者だもん。
確かにファーロングくんが美形すぎたからなんだけど、ニックはほんとに最近の若手の中では群を抜いている役者だと思うわけで。
だから、彼についてあーだこーだ言ってる人は、ニックでなく、ドラッグとアルコールで「塀の中」の人になったファーロングくんを怨むべきだと。


そう、完全にあたしはニックを擁護し庇護します。
うまいよ、本当に。


だって不憫ぢゃないですか、ジョン・コナー。
前作『2』で問題はすべて解決してしまったはず。
そうなるとかわいそうなのは当のジョン。
さいころから母親に「あんたは救世主なのよ」と言われ続けていたのに、その目標も絶えてしまって『3』の今回は冒頭フヌケ同然の状態で登場。
頼りないと怒る方も多いみたいだけど、
たとえば幼いころから「あんた東大よ」と言われて育った人が東大入れなくて目標を失ったとき、
やはりフヌケになるんじゃないかとも思われるんですが、いわば自己喪失状態からどう立直るかが今回のスジであろうと思われたわけで。


そういえば母に言われたとおりに生きるのは『マザコン』と良く世間では。
彼もやはりそうかも。
『1』では自分の部下(カイル・リース)に過去の母親の元へ行って来いと、
まるで自分を生ませて来いと言うに等しいことを命令するんだから相当なものですわよ、彼は。
そんな状態から抜け出すにはスカイネットでも何でも復活してもらって、カアチャンなしでそいつと戦わんといけないわけです。
でも彼の未来の奥さん、気が強そうですし多分恐妻家になりますな。


作品全体としては「乾いた雰囲気」を感じた。
これはあまりにも『2』がお涙頂戴で湿っぽ過ぎたから(失礼!!最近2を観て「あれ?なんであんな泣きまくったんだろう」って意見を変えたんで)、
かなり対照的でギャップに苦しむ人も出てきそうだなと。
ただエンディングへの持って行き方、ジョン・コナーが指導者に名乗りをあげるシーンは、きっと「運命」ってこんなものだなと思いましたわけで。
(ああいう「潔さ」ってあたし凄く好きなの)


運命とはかーちゃんが決めたことでも、機械のプログラムによるものでもないからだろう。
変える「運命」が、受け入れる「運命」になってしまった賛否両論のありそうな新シリーズの予感がするんだけど、できたらやめてほしいなあ。。


・・・しかしTXが女型である必然性ってあるのかな、きっと未来の機械も恐妻家ということか、機械のクセに・・・時代だな。コリャ。 
(次々に腕が武器になっていくのを観て「あ、ライダーマンだ」…いやあ、年齢だなあ)


でも、まだしょぼいジョンが何故に強いリーダーになったのか?謎だったけど、
母サラと妻ケイトという二人の強い女性に尻を引っ叩かれ育てられたんだな−と納得。
(ニック擁護派ではあるけど、あたし『1』のジョン・コナーが好きだったんだよな。IMDbに名前も載ってないけどね)


うん、あたしは好き。キャメロン節がぷんぷんしてないし、あの潔さが好き。
シルバーマン博士をもってきたりとか、そういう「笑い」の要素がこれまた非常に好き。


シュワちゃんが送り込まれた理由(あ、ネタバレします)がまた爆笑。
少年時代のカタルシスだかなんだかで、シュワちゃんタイプにふらふら近づいてって殺されるだなんて。
「しょーがねーなー、まったくー」
いやー、笑った笑った、まぢで笑った。


とりあえず、あたしはアリ。ただ、続編作られたりしたら「なし」ですけどね。


最後にこれだけはどうしても言いたい。
シュワルツェネッガーさん、眉毛に白髪が見えてます。
機能を止めた時のアップのシーン。メイクさん、気がつかなかったのかなあ。