名もなきアフリカの地で



試写会
九段会館
かどいちゃんと


1938年、日に日に厳しくなるナチスの迫害から逃れるため、イエッテルは10歳の娘レギーナを連れ、先にケニアに渡っていた夫ヴァルターを訪ねてやってくる。
しかし過酷な環境に、お嬢様育ちのイエッテルはなじめない。
一方、小さなレギーナはすぐにアフリカの暮らしに慣れ、料理人のオウアとの間にも友情が芽生える。
第二次世界大戦が始まった。ドイツ人の一家は収容所に入れられてしまうが…。


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三時間の長丁場。でもそれを全く感じさせなかった。
劇的な展開とかがあるわけぢゃないんだけど、ほんとに淡々と進んで行くんだけどダレないんだ、全然。


風景が綺麗。どこまでも広がる空と大地。おおーって感じですな。
(実際に住もうって気にはならないけど。だって虫がいっぱいいそうなんだもん)


出てくる人がみなさん素敵で。
必死で働くおとーちゃん、どういう状況かわかっていず、「こんなとこはやだ。早く帰りたい」ばっか言うおかーちゃん。
そんなのはほっといて料理人の黒人さんオウアやアフリカの子供と心を通わせて行く娘。


それぞれの視点が丁寧に書き込まれてて、それぞれに感情移入してしまうんですわ。
「いくらなんでもそれはあんまりだ」と思ったおかーちゃんに対してさえも。


このおかーちゃん、かっとんでるんですけどね。
冷蔵庫買わないといけないのに、ドレス買っちゃったりとか、「おいおいー」。
おとーちゃんはアイデンティティーを求めて苦悩してるってのに(インテリは大変だなあ)。
おとーちゃんの姿が寂しくて哀しくて。


ラスト近く、蝗の襲来。あの映像は凄かった。
家族の絆が取り戻されるきっかけになるんだけども、「うおおおおお」って思わず声が出たな、あれは。


アフリカの人は、度量が広い。その広大な大地のように、懐が深い。



「心が枯れると死んでしまう」という言葉、これはかなり心に残った。



うん。久しぶりに、素直に感動した。
確かにありがちな「異文化交流&少女の成長の物語」ではあるんだけど、とにかくアフリカの自然が圧倒的。


こういう作品に素直に感動できる自分に、「あ、まだ大丈夫だ」と安心してしまったあたしなのでした。