ゴーストシップ




新橋文化
小坊と



40年前、大西洋で消息を絶ったイタリアの豪華客船。
これを発見したという飛行機のパイロットに導かれ、海難救助船のクルーは捜索に向かう。
やがて無人の客船を発見するが、そこには悪霊の群れが待ち受けていた!


☆★☆★☆★☆★


冒頭三分、これが凄い。
オースティン・パワーズ ゴールドメンバー」んときみたいに、この場面だけでもう充分ってくらいお見事。


豪華客船のパーティ、船員さんと少女の心温まる光景がじわじわと迫ってくる「くるぞくるぞ」って緊張と同時進行。


ぷつーんと切れるワイヤーとともに、怒涛の惨劇開始。
一瞬の「ため」が入って(この静かな音のない世界、そこに立ち込める緊張感がいいんだなー)、一気に崩れ落ちる。


…すっげーなー。いっやー、お見事。
久々に観ました、極上のホラー(の、オープニング)。


そして舞台は現代に移行…ガブリエル・バーンさまが登場!!


うひゃひゃひゃひゃひゃー!!


いやいやいやいや、「出演作品を全く選ばない名優」バーンさま。
哀しげな表情が素敵ですわ。
(「この人ってこんなんばっかだよね」っていう声は、あたしの耳には聞こえません)
たまに「ユージュアル・サスペクツ」のような名作に恵まれることがあるものの、大概は
『下手な鉄砲だから、数撃っても当たらない』っていう悲運の役者さん。
さて、今回はどうなることか。でも、なんだか良さそうだな、この感じだと。


…って、思ったあたしが甘かった。



いえね、ストーリーはオーソドックスなんですわ。
幽霊船となって大西洋をさまよう豪華客船、一人一人消えて行く登場人物。
少女の幽霊、血が溢れ出すプール…いやいやいやいや、気持いいくらいにお約束。


たださあ、オチまでこんなオーソドックスにしないで欲しかったなあ。
(ネタバレ御免)悪魔もんのオチとかって、つまんにゃいんですけども。


魂を堕落させるエサに「金塊」を使うってのは、悪くないですけどもねえ。でも、なんだかつまんにゃい。
だって、こういうのって、もう使い古されてて焼きなおしもきかないくらいぢゃないですか。
せっかく幽霊船ものをやるんだったら、もーちょっとなあ。


まあ、いいかな。後半はもう笑うことに決めたもんで、かなり愉しめたし。
「きたきたきたきた、馬鹿だな、あーあ、やっぱしなー。はっはっはー」


ラストの「衝撃(なんだろうけどもね、意図は)」には、かなり笑いましたねえ。
あの「新メンバー」の中にバーンさまがいらっしゃらないのは、善人だったからなんでしょうかね。
それとも、いらしたんだけども見逃したとかなのかしら。


うん、まあ、いいんぢゃないですか。
世間一般でクソ映画とされているようですが、あたしとしては冒頭の惨劇がかなり愉しめたんで
(天才ロバート・ゼメキスが製作に関わってるだけあって、映像は悪くない)アリにしとこーかな、と。