魔界転生

魔界転生 [DVD]

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試写会
有楽町・よみうりホール
かどいちゃんと


江戸時代、島原の乱で討たれた天草四郎が魔界から復活。
魔力をもつ彼は亡き剣豪を生きかえらせ、乱世をもたらそうとしていた。
不穏を察した柳生十兵衛紀州へ向かい、よみがえった伝説の剣豪との闘いに挑む。


☆★☆★☆★☆★


もう、今後、誰一人として
山田風太郎忍術文学の名作【魔界転生】を映像化しようなんて
どうかしてるとしか思えないような血迷った考えを起こしませんように




なーにが【完全】映像化だか。
【完全】ってのは、原作ぎったぎたにすることなんかい??!!


【完全】ってからには、ちゃんと森宗意軒や由井正雪を出せってんだ。
魔界衆だってそう。
原作にない家康なんて出さなくていいから田宮坊太郎&柳生如雲斎をちゃんと出せ。


前回もそーだったけど、森宗意軒の指は10本、だから転生できるのも10人って設定は??
無制限に転生できるってんぢゃ、意味ねーぢゃん。
柳生さんちの三男坊を仲間にいれようっていう魔界衆の設定は??


まったくもう。魔界衆での数少ないビジュアル面担当あらきまたえもんをあっさり使い捨てにするなんて。
いくら無制限に転生できるからって、あれはなあ。



【出来のいいリメイク】ではあるけれど、【原作の完全な映像化】では断じてないぞ。


【原作の完全な映像化】とかほざくなら、天草四郎を主役に置くな。
(いや、意外にもくぼっちったら「不憫なしろーちゃん」で良かったですけどね)


最後はちゃんと武蔵と柳生の三男坊との対決にしろ。


「やぎゅうじゅうべえはどこへいく」

あの一文に小学生だったあたしはクラっときたもんです。


キャストはかなり良かったんだけどなー。


そして、冒頭5分、島原の乱終結寸前の場面。
あたしの目を釘付けにしたのは、天草四郎くんではありませんでした。
彼を討伐にきた侍の大将、國村隼さん。


このしょぼくれてんだか クールなんだか おちゃめなんだか 酷薄なんだか 
かっこいいんだか 情けないんだか エロいんだかわかんないおぢさまが、あたしはめちゃくちゃ好きなのです。
(今流れてる携帯のCM「おとーさん、ありがとう」が始まると、なにやってても全部捨て置いてテレビの前に正座こいちゃうくらいです)


「もう 神など信じぬ」っていうしろーちゃんの台詞で御乱心。
…嗚呼、國村隼さんもきっと魔界衆に…きっとさぞかし…え?違うの??


國村隼さまを充分堪能できたから、あたしゃ幸せでございますわ。


加藤雅也って、ほんとに鳥肌もんでかっこいい。
「転生するならあたしのからだをつかってくださひー」です。
あ、でもあたし生娘でないから駄目ですね。残念。


中村嘉津雄(男、だっけか?)さんってしどーくんのパパですか?
梨園の人だけあって、動きがほんとに綺麗。
前作の若山富三郎さんのような鬼気はないものの、それでもかなり高得点。


古田新太@宝蔵院のおっちゃんも、良い。
前作の室田日出男さんに劣らぬ良さ。
扱いの大きさと存在感だったら、今回のほうがアリかも。
でもさ『槍が折れたら宝蔵院は散る』ってんなら、もっと頑丈な槍を使いましょうよ、ねえ。


杉本哲太の馬鹿殿も、柄本明の松平伊豆守も、お見事。


残念なのは長塚京三さん。
あたし、めっちゃ大好きなんですよね、この人。
ほんと大好き。観てるだけで嬉しくなるくらい好き。
でもね、長塚さんは宮本武蔵ぢゃないでしょう。
伝説の名だたる剣豪なんだから緒方拳あたりを持って来て欲しかったな(…あ、それって前作か。失礼)
声がさ、穏やかでちーっと高いから、迫力ないんだわね。
お願いだから宮本武蔵を小娘に刺されたくらいで退場させないでください。
てったくん演じる馬鹿殿あたりなら非常にはまった気がするんだけどな、残念


麻生久美子さん、赤影んときは「んー」だったけど、今回は良い。
たとえクララお品はそんなんぢゃねーやー!!だったとしても「不憫なくぼっち」とのコンビは悪くないです。
ただし、あんな役立たずを転生させるのはいかがなもんかと。
たしかに家康ってのは実力者ではありましたが、武の人ではなかったですわな。
だったら真田幸村さんとかそのあたりのほうがまだ…原作にない人転生させるんならそんくらいやってくれないとな。



そして、この人が出てる映画を観ると大概1週間は恋をするという佐藤浩市
今回も…出た。あー、やっぱかっこいーなー。
通常はこっから「こーいちさまー」ってなるはず。


…が!!


あたしはこーいちさんと碁板を挟んだ相手から目が離せなくなってしまったのでありました。


う、う、う、上杉さあああああん!!!!



あたしがとにかくひたすらこよなく愛している「舞台の華」上杉祥三さんではないですか!!
篠井英介さんと同率、揃ってぶっちぎり首位独走)


あたしの1993年と1994年は、この人で明け暮れしました。
この人が前田利家やってるもんで、正月の12時間ドラマ「太閤記」を全部観て、録画もしましたさ。
「澤田熱」に近い状態で、ほんとに目茶苦茶愛してました。
今だって、多少落ち着いたとはいうものの、それでも大好き。


その上杉さんが柳生の三男坊のお取り巻きにいらっしゃる。
うわー、これだけでもうこの映画、アリにしちゃおっかな。
キャスト面だけですがね。


以後、加藤昌也が襲ってくる…上杉さんは無事か?!
古田新太が襲ってくる…上杉さんは無事か?!
長塚京三が襲ってくる…上杉さんは…しくしく。


でも、ほんっとに久々に上杉さんに「会う」ことができて、めっちゃ嬉しかった。
最後に「会った」のはテレビ東京の深夜の馬鹿ドラマで、キャバクラの馬鹿な客だったからな。


この人って、やっぱいいなー。でもこの映画観て、この人に注目してるのは多分あたしだけなんだろーな。
で、終わってから「こーいっちゃんの脇にいた、茶色い着物の人」って言ったって、間違いなく誰も覚えちゃいないんだろーし。


でもいいや、あたしは堪能したし。男闘呼組のボーカルなんていいから、もーちょっと見せ場が欲しかったけど、でもいいや、うん。
高橋和也のほうが國村隼さん&上杉さんより名前が前ってのはどーゆーこっちゃー!!)


でもね、やっぱこの映画はあたしには駄目。
上杉さんに國村隼さん、加藤雅也さんの存在をもってしてでも駄目。


音楽よし、映像よし、キャスト(ほぼ)よし、でもストーリーが駄目。
監督も脚本の人も、原作をちゃんと読んだのか?


原作関係なしに、あくまでも前作のリメイクとして作ったんなら
【原作を完全に映像化】とかの偽りの謳い文句をあげないで欲しいっす。


DVDは買いますとも。もちろん。
上杉さんのためだけに(國村隼さんのは結構もってるから♪)ね。


でも、上杉さんが退場したら、そのまま巻戻しそうですな、買ってもさ。


もう一回言いたい


ほんっとーに、もう誰も、この名作を映像化しようなんて血迷ったこと考えないでいただきたいもんです


こんながっくしきちゃう思いは、二度すればもうたくさんでございますから。



最後に

ねえ、「忍法髪切丸」は??


不憫なしろーちゃんが、麻生久美子さんの手足の関節はずして無理矢理Hして、髪の毛抜くとは思えない。
でもさ、天草四郎の武器ったら「忍法髪切丸」でしょーが。


これさえあれば、柳生さんちの三男坊に余裕で勝てると思うんだけど、駄目なんですかねー。
あー、つまんねー。