ドリームキャッチャー

ドリームキャッチャー 特別版 [DVD]

ドリームキャッチャー 特別版 [DVD]




試写会
東京国際フォーラムAホール
みはるちゃんと


幼なじみの4人が雪深い狩猟小屋での、毎年恒例の休暇に結集。
やがて、道に迷った瀕死のハンターを助けたことから、彼らは怪奇現象に襲われる。
それは20年前の少年時代に4人が遭遇した、ある事件と関連していた。


☆★☆★☆★☆★


原作はとにかく素晴らしいの一言。
キングはとにかく少年もの書かせたら天下一品だから。


原作は素晴らしい、予告観た限りでは映像もかなり良さそう、音楽も悪くない。
キャストはまあ、観てみないとわかんないよな。
ティモシー・オリファントあたりを持ってくるとこがかなり好きなんだけどな、このキャスティングディレクター)
試写会招待状の裏には「原作者キングが、今まで映画化された中でも最上の出来だ」と言っているそーだ。


原作者の絶賛ってのは通常安心していいもんなんだろーけど、キング様の場合はそーはいかない。
なんせこの人、【褒めたがり】なんである。
ホラー小説の帯に「キング絶賛」って文字がやたらめったらあるんだけど、とにかく褒める。駄作でもなんでも褒める。


「バーチャル・ウォーズ」「バトルランナー」「チルドレン・オブ・ザ・コーン」…「原作ぶち壊されるのに嫌気がさした」って自分でメガホンを握って監督した作品があります。


ファンは非常に期待しました。原作の短編は良いし、主演がエミリオ・エステベス
…わくわく。わくわく。


でも、出来上がったのは駄作もいいとこの【地獄のデビルトラック】ですから。


【餅は餅屋】って言葉を痛感したもんです。
ただし、いいものをつくってくれる【餅屋】があまりに少なかったですが。


あ、かなり脱線した。



…やっぱ映像いいわー。
…音楽めっちゃいいぢゃん。
…おー、これがヘンリーか。かっこいーぢゃねーか
…ジョーンジーっすか、イメージどおりだな
…おー、出て来たぞ、ティモシー・オリファント。この品のないあくの強い顔がいいんだよな
…あ、そーか、ジェイソン・リー出てるんだっけ


うんうん、悪くない。ってーか、こんだけやってくれたら満足ですわ。


記憶倉庫の映像とか、「あー、うまいなー」なんて笑ってしまった。


ダディッツ登場んときなんて、あの笑顔で涙腺いきなし潤んだ。
(あたしは「グリーンマイル」んとき、冒頭5分で二人の少女を抱えて号泣してるマイケルクラークダンカンの姿に涙腺爆発した前科があります)


子供ダディッツの笑顔がとにかく良くて、出てくるたびにもう涙腺うるうる。


話は佳境に入り、ついにダディッツが出陣。
またしても涙腺がうるうる。


すげー、この作品ったら、よくできてる。あたりかも!!



…そ・し・て 20分後


なんぢゃこのクソ映画はああああ!!!!!!


それまで120分かけて積み上げて来た高得点を、一気になし崩しにしてしまうラスト20分。


なんでダディッツが正義のエイリアンなんだよ!!



しかもモンスターと取っ組み合いの喧嘩して「ぼく、ダディッツ」って退場ですと?


あたしが号泣した「ヘンイー 愛してるよ ヘンイー」の場面は?


猿の惑星」「ロック・スター」マークの弟ダニー・ウォルバーグ
彼の演じるオトナダディッツはかなり良かったです。


でも、こんな大事な登場人物を、こんなに軽く、薄く、ないがしろに扱うんだったら
そもそも「ドリームキャッチャー」は映像化するべきぢゃないと思いますよ、あたし。


一気に脱力。
ラスト20分さえなければ、満点あげる。
モーガン・フリーマン(言っとくけど宣伝で彼が主役と書かれてますが、あれは客寄せのための嘘です)があっさり退場したのも
トム・サイズモアがこれまたあっさり退場したのも、いいですよ


ジョーンジーに憑依したミスター・グレイの存在が薄いのも、いいですよ


でもさ、この作品の【軸】って、四人の少年とダディッツとの絆なわけで。
それが全然描かれていないし、とにかくダディッツの扱いが軽すぎる。


「死霊伝説」「バトルランナー」「」まではひどくないけど
「シャイニング」くらいにはひどい出来の作品になっちゃいましたな、たった20分かそこらで。


キャストがほぼ完璧なくらいに良かったから、


☆★☆★☆★☆★


ジョーンジーの人、どっかで観たと思ったら「名探偵ポアロ」で「ヒッコリー・ロード」やったときのレン・ベイトソンなのね。(IMDb調べ)
あたしの記憶力って無駄なことばっか…よく覚えてたよな


ティモシー・オリファントは、いいよな。
「ロック・スター」で猿顔の主人公の親友ロブをやってたんだけどこんときの彼が目茶苦茶印象に残ってて。
濃い顔、あくの強い顔、なのに薄い存在感。
こういう人、大好き。脇にいると嬉しいタイプだもんな。


☆★☆★☆★☆★


映像が本当に綺麗だったから、音楽がかなり良かったから、
そして120分間にかなり満足してたから、それが全滅した時の虚脱感といったら。


怒るってより、哀しい。ほんとに哀しい。
こういう壮大な失敗作って、とほほって声しかでない
キューブリックの「シャイニング」をキングファンはこう評している
「すっごくゴージャスなキャデラック。でもエンジンがない」


ゴージャスなんだけど、なんか肝心なもんが欠けている映画、それがシャイニング。
(あたしはジャック・ニコルソンのミスキャストが最大の原因だと思うけどね)


そしてこの「ドリームキャッチャー」はあたしに言わせれば
「さあ、キャデラックでドライブだ。エンジンかけた、ハンドル握った…なんてこったい、タイヤがないぢゃないか!!」
ってかんじですわ。


原作読んでなくて映画だけ観た人が、「こんなもんなのか、キングは」って思われたらすごくやだ。


というわけで、あたしこの映画のDVD、多分買うとは思います。
でも、この映画は「キング原作を映像化した作品に、また欠陥品のキャデラックが増えた」って評価をさせていただきます。


あー、もったいない。まぢでもったいないな、この作品。しくしく


『最後に』

そうだ、クソ映画なのはわかってたはずぢゃないか


見せてあげよう 見たことを後悔するものを


製作側は最初からそうやって警告してたんだな。
ちゃんと散々言われていたのに、それを忘れてたあたしがいけないんだ、うんうん。