呪怨





テアトル新宿
ししょーと


ホームヘルパーのボランティアをしている女子大生の仁科理佳(奥菜恵)は、寝たきりの老婆・徳永幸枝の様子をみてきて欲しいと頼まれる。


郊外の住宅地にあるその家には、不気味な雰囲気が漂い、人の気配がまったく感じられなかった。
理佳が鍵のかかっていない玄関から家の中に入ると、そこには悪臭が漂い、物が散乱していた。
彼女は一階の薄暗い部屋でようやく幸枝を発見するものの、老婆は脅えながら遠くの一点を見つめ、
何を言っても反応がなかった。
理佳は人の気配を感じ、二階へとあがった。
子供部屋らしきその部屋の押入れは、ガムテープで封印されていた。
彼女はおそるおそるそのガムテープを剥がし、襖をあけるとそこには…


数日前。徳永幸枝の息子・勝也(津田寛治)が帰宅すると二階の寝室では妻の和美が倒れていた。
その家に引っ越して来てから一家には不吉なことが次々と起こっていた。
やがて、勝也は家の中で見た事もない真っ白な子供を目撃し、何かに取り憑かれてしまう。
その直後、勝也の妹・徳永仁美(伊藤美咲)が家を訪れる。
彼女は体調の悪い母親・幸枝の様子を聞こうと、電話をかけたら誰も出ないので心配になってやってきたのだ。
だが、勝也は意味不明な言葉を発し、仁美を追い返してしまうのだった。
それ以来、仁美にも不吉なことが憑きまとうようになる。
彼女は勤務先のトイレで得体の知れない女の幽霊に襲われ、その霊が警備員をとり殺すのを目撃する。
そして、家に戻った仁美をさらなる恐怖が待っていた…


理佳からの連絡がないことを不審に思った福祉センターの男性が徳永家を訪れる。
彼はそこで、物凄い形相で絶命している老婆とその横で放心状態のまま蹲っている理佳を発見する。
警察の現場検証の結果、さらにその家の天井裏から勝也と和美と死体が発見された。


事件を担当する刑事・中川は調査の結果、その家では過去にも謎の死者や失踪者が続出していることを知る。
すべての発端は、9年前にその家に住んでいた佐伯剛雄が妻の伽椰子を殺害、
自らも付近の路上で死体となって発見され、当時六歳の息子・俊雄が行方不明になっているという事件だった。
中川は科学や常識では説明できない何かが関わっていることを感じながら、
かつて事件を担当した元刑事・遠山を訪ね、捜査を進めるが、おぞましき呪いは既に遠山に取り憑き、やがてその恐怖の連鎖に中川自身も巻き込まれて行く。


もはやその暗黒の力は人間の力ではどうすることもできないのだろうか?
理不尽で暴力的なまでの呪怨は、遠山の娘・いづみ、理佳の親友・真里子へと伝染し、崩壊して行く。


そしてついに、想像を遥かに超えた底無しの恐怖が目の前に…


☆★☆★☆★☆★


あの場所にはなにかがある
あの家にはなにかがいる
あの部屋には禍禍しいなにかが棲んでいる


…参りました。


何年ぶりだろうなあ。
【ごめんなさい。あたしが悪かったです。助けてください。もう充分です。本当にごめんなさい】
って、ずーっと心の中で謝っていたのって。


何年ぶりだろうなあ。
映画終わってから現実に戻るのに凄く時間がかかって、夢にまでみたのって。


帰り、お茶しに寄ったウェンディーズで、足元をどうしてもチェックせずにいられなかった。
駅のトイレに誰も入っていなかったから、怖くて入れなかった。
うちに帰ったあと、髪の毛洗うのが怖かったから、風呂のドアあけて、親分に外にいてもらった。
夜、布団がどうしても怖くて、もらったっきり使ってなかった「かいまき」を出して、それで寝た。
夜中に目を覚まして、押入れがどうしても怖くて、押入れのない親分の部屋を借りて、寝た。
少林サッカー」のDVDを観ながら。


ほんっとーに、怖かった。
「リング」みたいに単発でどーん!!ってでかいのがくるのと違って、
小刻みにジャブをかましてくれる怖さ。
パンフにあったとおり、【ただひたすら、やみくもに、怖い】


92分の作品なんだけど「え?そんな短かったっけか??」って驚いた。
あたし、絶対3時間くらいあったと思ってた。


ホラー映画はこわがってなんぼ。
そしてこの映画は、その基本に実に忠実につくられてます。


「リング」の貞子、確かにこわかったよ。
でもさ、この映画は貞子みたいなのが親子でくるんですもの。


「くるぞ、くるぞ、絶対なんかくるぞ…ほらきた!!」ってのは通常「おやくそくー」って安心して観れる。
でもこの映画はそーぢゃなかった。
「ま、まだくるんですか?もう助けてくださいよー!!!!」…まぢで涙ぐみました。


(ネタバレです。どーしてもこれは書きたいんです。ごめんなさい)


元刑事さんとその娘の再会シーンで、一瞬泣きそうになった。
本当にいい場面だった。
この娘が「襲撃」されたとき、絶対この子は助かるとおもった。
だっておとーちゃんがいる。きっとおとーちゃんがなんとか助けてくれるんだ。
しかも彼女が逃げ込んだ部屋には、おとーちゃんが帰って行った【仏壇】があるんだから。


…仏壇は通常は【安全地帯】ぢゃないんですか???
まさかそんな…うっそでしょー???!!!


これはとにかくものすごく衝撃でした。ここであたしはこの映画に「救い」がないことを覚悟しました。


ほんっとに凄かった。こんだけ完璧にノックアウトされた映画って久しぶりだった。
(思い出した。トッド・ブラウニング監督の「フリークス」以来だ。あれは凄かった。
映画の途中でまぢで足腰に来て立てなくなったもの。しかも泣いちまったし)


邦画って、まだまだ力あるぢゃん
ってーか、こういう中へ中へと来るホラーはやっぱ日本のが1番だよな。


ホラー好きには薦めるし、個人的には絶賛しちゃいますけども、
「もいっかい行こう」って誘われたら、今は断るな、たぶん。


【観ようと思ってる人へ】
これ、でっかい画面で観たほーがいいです。ぜったい迫力違いますから。