OUT

OUT [DVD]

試写会
銀座・ガスホール
みはるちゃんと

原作が大好き。桐野夏生さんは得意ぢゃないんだけど、この作品だけは別。
ドラマになったときに「えー？？？」って不満が残っていたんだけど、今回はもう…うひゃー!!

だってキャストを見ただけでぞくぞく来ました。
原田美枝子ってだけでも「おー!!」なのに、倍賞美津子、室井滋、そーしーて、香川照之。
「じゅ、十文字が香川さんっすか？」とは思ったものの、原作と違う十文字が愉しめることは間違いない。
だって、香川照之さんですもの。この人が出てるってだけで、その映画を観る気になる役者さんの一人。
香川さん、めちゃくちゃうまいんですもの。どんな役やったって、とにかくうまい、凄い。
予告でちらっと小木茂光さんの姿も見えたりしたもんで、わくわくしまくっちゃってたわけで。

「え？佐竹が間寛平なの？」なんて一抹の不安があったものの、
「いや、十文字が香川さんなんだから、きっとまた違う佐竹が見れるだろう」ということでアリ。

そして、観終わったあと。

はい、お見事です。参りました。
そりゃね、原作とは違いますよ、いろんな点で。
ただ、まるっきり別物として愉しめたんだから、これはアリです。はい。

女四人に重点を置いたから、佐竹の存在が薄くなってしまったことは確かに悲しい。
あんな「テルマ＆ルイーズ」みたいなシーンいらねーから、って思ったことは否めません。

でも、とんでもない馬鹿女だけどどこか憎めない邦子を演じる室井さんが抜群だし
（原作の邦子は嫌いなんだけど、映画の邦子はめーっちゃくちゃ大好きだ、あたし）
師匠役の倍賞さんがとにかくとてつもなくかっこいい。こんなふうに年とりたいなーってしみじみ思う。
西田尚美がまたいいんですねー。「をいをいをいをい」って思うけど、「あー、もー、どーしよーもねーな、この女」
って腹も立ってくるけど、妙に飄々とした風情がたまりません。

で、原田さん。もう最高。「最高」「抜群」なんて言葉で言い表せるようなもんぢゃないくらい、とにかく凄い。
あたしが男だったら、ひれ伏して惚れてるな。
十文字と彼女の関係ってのは原作にはないものだけど、「おー!!!!」って感嘆したのは
原田美枝子の迫力と、そして香川さんの存在感＆演技力だと思う。
スケートリンクでの二人のやりとり、めーっちゃいい。めーっちゃ好き。
香川さんには決して「フェロモン感じるわぁ」って気持ちはないんだけど、
あんなこと言われたら「しょーがないなあ」って苦笑しながらもついてっちゃうな、あたし。

というわけで、原作と比較したらつっこむとこは確かに満載ではありますが、
それでもあたしは、この作品はアリにしたいと思います。

うん、満足満足。日本映画ってやっぱり頑張ってるよなーってしみじみ感心した一本でございました。